子育ては楽しい!
障害者こそ子育てを
「私は子どもが好きで、ずっと子育てをしてみたいと思っていたから、無理だと言われたら別な病院を探して。10か所くらい回って、運よくいいお医者さんに巡りあえて“できるところまでやってみましょう”と言ってもらえたんです。
同じ障害の友人たちも反対されながら産んでいます。お医者さんにノーと言われて、あきらめちゃった人もたくさんいると思うから、あきらめないでと伝えたいです」
また、骨形成不全症は遺伝するため、2分の1の確率で子どもに同じ障害が出る可能性もある。それでも、全然ためらわなかったそうだ。
「私自身、障害があるから大変とか、障害がなければよかったって、思ったことがないんです。自分が楽しく育ってきたから、自分の子どももそれなりに育てればいいと」
’13年に長男、2年後に長女を帝王切開により出産。2人とも2000グラムを超え、障害は遺伝していなかった。
日々の家事や育児は毎日10時間、10人の女性ヘルパーが交代で来て支えてくれている。だが、早朝や夜間などは、ほとんど伊是名さんのワンオペ状態だ。
「夫は夜勤のある仕事をしていて、ほぼ使えない状況で(笑)。後追いの時期は娘をひざに乗せたまま、お兄ちゃんの遊び相手をしたりして、私はトイレにも行けなくて。抱っこができたら、どんなにラクだろうと思いましたね。
子育ては大変だけど、楽しいこともいっぱいあります。子どもって、ママが大好きじゃないですか。100パーセント自分を肯定してくれて、必要としてくれることってなかなかないから、障害者にこそ子育てをすすめたいです」
本の表紙には子どもと一緒のカラー写真を大きく使用。タイトルの文字は5歳の息子が書いてくれた。書店では新刊コーナーだけなく、育児、エッセイ、福祉など、さまざまな棚に置かれている。
「新宿の書店では、タレント本コーナーにあるの。もう、超~ウケる(笑)。店によって扱いが違うのは、ありがたいです。若者や男性、育児を終えた人など、たくさんの人に読んでもらいたいから。ひとりでも多く味方になってくれたら、障害者が生きやすい社会になるかな」
ライターは見た! 著者の素顔
大学時代にアメリカに1年、デンマークに3か月単身で留学した伊是名さん。旅行が大好きで、子どもを連れてミャンマーを訪れるなど、これまで訪れたのは17か国。
「観光地に行くより、スーパーに買い物に行って、ゲイカップルがラブラブしながら歩いているのを見たり、現地の人が好きな食べ物を教えてもらったり。
旅行に行くと、その場所でしか味わえないことがいっぱいあるし、環境がガラッと変わるので楽しいですね」
(取材・文/萩原絹代)