「表面的にはかなり平静になってきたように見えますが、心理的なストレスや傷は残っていると思います。夏休み中も2学期以降もケアは続けていく予定で、心理カウンセラーの増員も決めております」

 私立カリタス小学校(川崎市多摩区)の担当者は、在校生に対するケアの取り組み具合を、そのように明かす。

容疑者の自宅は

 今年5月28日朝、神奈川県川崎市多摩区登戸新町の路上で、スクールバスを待つ小学生ら20人が刃物で切りつけられ死傷した事件。同市在住の岩崎隆一容疑者(当時51)は犯行後に自殺したため、正確な犯行動機は闇に消えた。

 事件現場から直線距離で約4キロに位置する一軒家で、事件前の岩崎容疑者は、80代の伯父夫婦と暮らしていた。そこに今、人の気配はない。

一瞬の犯行後に自殺した岩崎隆一容疑者は、青春時代も短髪だった
一瞬の犯行後に自殺した岩崎隆一容疑者は、青春時代も短髪だった

 近くの古参女性住民は、

「(どうしているのか)わからないですね。むしろこっちが聞きたいくらいですよ。奥さん、どこに行ったのかしら」

 と夫婦の行方を心配する。

 事件後、学校は自家用車での送迎を認め、学校の駐車場や小学校の校庭を駐車スペースに開放していたが、

「体育の授業ができないなど不具合があったので、1学期の終わりくらいに学校内の駐車スペースについては提供をやめることにしました」(前出の担当者)

 スクールバスはいまだ稼働せず、学校は市バスをチャーターし、児童を送迎している。

「事件現場になったバス停を使うことはありません。新しい登下校の手段を今、考えている段階です」(同)