あおり運転は“エコじゃない”

──昨今、話題になっている“あおり運転”ですが、今回の件でよりフィーチャーされるようになりました。メディアでは「もし、あおり運転に遭遇したら」といった特集まで組まれるようになっています。

あおり運転は今の時代に逆行しているような気がしますね。今のハイブリッドカーや電気自動車には、ブレーキをかけて減速するときに失ってしまう運動エネルギーを生き返らせて再利用するという『回生ブレーキ』という仕組みがあります。

 そんな時代にあって、暴走したりあおり運転をしたりするのは時代遅れですし、エコじゃないですよね。こういう人は次第に淘汰(とうた)されていくのかもしれません。

 宮崎容疑者が卒業した関西学院大学はキリスト教に基づいた教育をしていて、校内には神父さんがいたり礼拝があったりするはずなのですが全然、精神的に効果がなかったみたいですね。隣人愛どころか隣人に対する憎しみしかなかったということですよね」

──連日ワイドショーではこのニュースがトップ扱いで報じられていますが、ふたりのキャラクターが非常に強いのも理由のひとつですよね。

「いま、世界ではアメリカの大富豪・ジェフリー・エプスタイン氏が未成年の女性に対し、性的搾取や人身取引をしていた容疑で逮捕されたあと、独房の中で死亡したというニュースが注目されています。その顧客リストにはイギリスのアンドリュー王子らの名前もあるとか……。闇が深すぎます。

 そんななか、どのチャンネルも延々とあおり運転の話題をやっていて、彼らが訪れたうどん屋の店主に話を聞きに行ったりしているのをみるに、日本はまだ平和なのかもしれないと思ってしまいました。ただ、あおり運転および、暴行行為は絶対に許されるものではないので、とにかく宮崎・喜本容疑者にはカウンセリングを受けて気性を直してほしいですね」


辛酸なめ子/漫画家・コラムニスト。
東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)『おしゃ修行』(双葉社)『魂活道場』(学研)、『ヌルラン』(太田出版)など。