お次のマツコ・バッシングは、NHKから国民を守る党党首の立花孝志参院議員によるマツコ・アタック。
マツコがレギュラーを務める『5時に夢中!』(MXテレビ)で、同党について「この人たちがこれだけの目的のために国政に出られたら、それで税金を払われたら、受信料もそうだけど、そっちのほうが迷惑だし、いったいこれから何をしてくれるかを判断しないと。今のままじゃ、ただ気持ち悪い人たちだから」とコメント。
これに対し、立花氏が「投票した人を侮辱するのは許せない」として、『5時に夢中!』に出演し、反論の機会を与えるように要求しましたが、叶(かな)えられず。立花氏はマツコの出演する月曜日に同局に突撃して、3週連続で抗議行動を行っています。
漫画家の小林よしのり氏はブログで《「国会議員」という権力者が「一国民」の批判に対して、直接職場に押しかけて、圧力をかけている》、高須クリニック・高須克弥院長はツイッターで《失望しました。僕には立花さんがNHKと同じくらい暴力的に見えます》と立花氏を批判しましたが、ネットでは「(マツコが)自分だけ言いっぱなしはズルい」「立花氏に反論する機会を与えるべきだ」という意見も見られます。
マツコ・バッシングが続く背景にある「思い込み」
さて、マツコは権力におもねるヤバいオンナなのでしょうか? マツコ・バッシングはどうして続くのでしょうか? それは、視聴者がLGBTに対してある思い込みを持っていることと、関係しているのではないかと思うのです。
マツコがブレイクするきっかけになったのは『5時に夢中!』ですが、同番組のプロデューサー・大川貴史氏はウェブメディア『JB press』での田原総一朗氏との対談で、同番組を立ち上げた際にターゲットを30代の女性向け、女性向けのエロ路線に決めたと話していました。マツコの出演は男性プロレスラーの代打だったそうですが、マツコの笑いのセンスや毒舌がうまくマッチし、レギュラーの座を射止めます。
その後、同番組はマツコからの紹介という形で、たくさんのおネエタレントを生み出します。彼女たちはいずれも毒舌で、性に対してもあけすけです。上述したとおり、それがプロデューサーの方針ですから、出演者がそう振る舞うのは当たり前なわけですが、見ている側は「LGBTの人はみんな毒舌である」と思い込んでしまったのではないでしょうか。
「LGBTの人はみんな毒舌」という思い込みは、マツコらがタレント活動をするうえではある意味、トクと言えるでしょう。例えば、美人女優がオンナ芸人に「ブスね」「バカね」と言ったら、その女優のイメージは下がってしまうでしょう。しかし、「LGBTの人は毒舌だ」という思い込みがある場合は、「面白い」「愛があるからOK」「本質を突いている」というふうに、好意的に解釈されることもあるからです。
女性に言われたら怒るけれど、LGBTの人に言われるのならOKというのは、LGBTを対等な存在として見ていないという無意識の差別で、こっちのほうがヤバいと私は思います。しかし、制作側も女性に言わせにくいことはLGBTのタレントに任せればいいわけですから、ラクだったことでしょう。