意図的にぶつかっていい競技!?
「何よりの魅力はその激しさですね。車いすの格闘技のようなところがあって、22競技のなかで唯一、意図的にぶつかっていい競技なんです。
バスケもぶつかりますが、ぶつかりたくてぶつかっているわけではありません。音もすごいし、振動もすごい。重たい障がいの選手もいるのに、よくあれだけぶつかりに行けるなと驚くぐらいです」
車いすバスケと同様に障がいの程度によって持ち点が割り振られており、コートに立つ4人の合計が8点以下でなければならない。
ただ1つだけ知っておいてほしいことがあるという。
「ラグビーだと思って見ると違和感があると思うんです。ガンガンぶつかるのは同じですが、ボールの形も違いますし、前にパスすることもできる。
純粋に『車いすラグビー』という競技だと思って見ていただくのがいいと思います。
'16年のリオでは日本は銅メダルを獲得しました。東京大会では金メダルを目指しているので、今年はラグビーのワールドカップもありますし、一緒に盛り上がっていければ」
パラスポーツのチェスだと初瀬さんがたとえるほど知的戦略が要求されるボッチャ。いったいどんな競技なのか?
「ボッチャは小学生からお年寄りまで、誰もができるスポーツです。まさにパラスポーツらしいというか、母競技がある柔道などとは違い、障がい者スポーツ特有の競技です。
ランプという器具を使えば首から上しか動かない重度の人でもプレーできます」
ジャックボールという白の的玉に向けて、自分の持ち玉を投げ合い、相手よりも的玉の近くに自分の玉がある数だけ得点が入るシステム。
「カーリングのように相手の玉を弾いたり、壁を作って邪魔をしたりするのは似ています。違う部分は的玉を動かすことができる点です。
最後の1投で的玉を弾き逆転することも。緻密な作戦や状況の判断能力が重要になってくる。頭脳戦が魅力のひとつです」
簡単に優勝できるのではと思うかもしれないが……。
「よくイベントなどでは、オリンピック選手とパラの選手で対戦することがあるのですが、だいたいパラの選手が勝つんです。実際にコートを見ていただくとわかるのですが、かなり広い。
だからボールコントロールもかなり難しいはずです。私たちが想像もつかないぐらいの努力をしていると思います。緊張感のある1投1投は見ものですね。さすがにもぐもぐタイムはないと思いますが(笑)」