妥協せずに自分でやらないと
猪塚さん演じるベンジャミンは政治家を志す上流階級の青年。知的で美しいハリエットに惹かれている。
「純粋にアメリカをよくしたいという強い思いを持って頑張ろうとしている青年です。自分の夢を叶えるには一緒にいてもらいたい女性だと、ハリエットに恋をしてアタックしていくんですけど。
よかれと思ってしたことが彼女たちにとっては迷惑だったりして。本人は当たり前のようにしていることが、世間的に見たら“なんかちょっとズレてるんじゃない?”という感じに見えたらいいなと思って。
そこまでは台本に書いていないですけど、役作りの裏設定で階級の違いやそういうところを出せたらなと思っています。
主役以外のキャラクターの人物設定は細かく描かれていないこともあるので、妥協せずに自分でやらないと説得力が全然ない役になってしまうんだなと気づいてからは、そこはまず第一に大切にするようにしています」
座長の柚希礼音さんとは、同じ事務所に所属しているが初共演。
「普段はすごく可愛い方だなと思います。稽古場で“柚希さん、おはようございます!”ってご挨拶したら、僕がストレッチしているところにいらっしゃって“ちえさん、な”って言われて。
そう呼ばれていることは知っていましたけど、いきなり呼べないのでタイミングを探っていたら、向こうから言ってくださったので“じゃあ、ちえさんって呼びます!”って(笑)。
でも本当にすごい方だと思います。これだけ第一線で活躍されているのに、ひとり芝居をされたり『氷艶』でスケートまでされたり、どんどん新しいことに挑戦していてカッコよすぎです。
今回も難しい楽曲に前のめりに取り組まれていて、稽古初日から勢いを感じましたし、抜群に頼りがいがあります」
ブロードウェイの新進気鋭の作曲家コンビによるオリジナルなロックも今作の大きな見どころ。
「闘いを表すうえで、ロックはすごく合っているんじゃないかなって思います。とにかく女の人がすごくカッコいいんです。
歌稽古のときに、女性全員で歌うシーンは鳥肌が立ちました。男たちをぎゃふんと言わすっていう爽快感が、まさにウーマンパワーミュージカルですね」