“松島の観察力”
努力の賜物である松島のプレーについて、ラグビーライターの向風見也さんは、
「跳ぶ力、走る力が素晴らしい選手ですね。ロシア戦でいえば、3つ目のトライのとき、タックルをしてきた選手に少しつかまれかけたのですが、単純に加速力ではじき飛ばしていましたね。
タックルをすんでのところでかわす能力もあるので、相手につかまらないフットワークとかスピードがある。これまで、ラグビーをあまり見てこなかった人は、こういった跳躍力や走力の部分がすごくわかりやすいのではないかと思います。あとは冷静で、観察力があるところですね」
同じくスポーツライターの大友信彦さんも、運動能力以外の彼の能力について、
「試合の流れやボールの動きを読む力がある。流れを読むという言い方をしますが、流れの予測力が高いですね」
前出の向さんが松島をインタビューした際、彼は以下のような話をしていた。
《結構、電車に乗った時とかに人を見るのが好きで。『この人、こういう癖があるな』とかいうの、よくわかるじゃないですか》
「“よく人を見ています”という話をご本人がして、それに対して、僕が“電車の中でお化粧してる人はどう思いますか?”って聞いたら、“う〜ん、すごい度胸だなって思います”と(笑)。人の動きは普段から見ているんだと思いますね。トレーニングとかそういう意味合いではなくて、よく人を見る人なんだろうなと思います」(向さん)
「周りを見ているというのは本当にあったと思いますね。僕ら大人のことも注視して見ていたと思いますし、周りの選手のことも」(今田さん)
松島を取材するラグビーライターの2人、また中学時代のコーチの今田さんも彼の性格については口をそろえる。
「すごく物静かで、とにかくシャイでしたね。いまもあまり口数は多いほうじゃないと思うんですけど。ここは昔からそうだったなという感じですね」(今田さん)
「以前はそこまで人前で話せるタイプではなかったんです。気軽に冗談を言うタイプでもなかった。周囲と外見が違っていたため、あまり表に出ていきたくないという気持ちがあったと思うんです。そのわりに必要なことは話す。必要ないことは話さない。これは高校時代の同級生も話していたことですね」(大友さん)
「高校生時代から比較すると、当時より人の目を見て話すようになった印象ですね。大勢の人に囲まれて話すときに自分の進行方向だけを見ていたので、当時は人の目を見て話すのがあんまり得意じゃないのかなと思っていました」(向さん)