──非常に少女マンガ的ですよね。惚れた腫れたで革命起こしちゃったり……。
よしなが先生の作品には時折、往年の少女マンガの思い出が顔を覗(のぞ)かせます。子どものころからたくさんお読みになっていたんですか?
「小学生のときにエッチなものを読みたくて『風と木の詩』(※7)を(笑)。ごめんなさい!」
──ポルノとして受容してたんですね(笑)。
「わりとそうですね。『日出処の天子』(※8)ですら、まだ小学生だったので、早く厩戸と(蘇我)毛人チューしねえかなあみたいな(笑)。深く読み込んだのは何年も後のことです」
なにを描いても少女マンガのつもり
──最初に読んだマンガは?
「『キャンディ・キャンディ』(※9)。祖母がなぜか2巻だけ買ってきてくれて(笑)」
──祖母あるある(笑)。
「なぜ1巻から買ってくれないのか。読むといきなりアンソニー(※10)が死んでるんですよ。キャンディはメキシコみたいなところに行かされそうだし、まったくわからない。でもそれしかなかったから、アンソニーが死んだ話を何回も読みました(笑)。
親は歴史の勉強になるからと『ベルサイユのばら』(※11)を全巻どさーって買ってきてくれましたね。あと、親戚のお兄さん、お姉さんがすっごいマンガ好きで、その人たちが24年組(※12)の先生の作品をたくさん持っていたから、貸してもらって読んでいました」
──そうやって1人のマンガエリートが爆誕したと……。
「わりと早期のエリート教育でした(笑)。中学生のときには24年組の先生たち、山岸凉子先生も竹宮惠子先生も萩尾望都(※13)先生も大島弓子(※14)先生もみんな読んでいました」
─『何食べ』にもジルベール(※15)が出てきますし。
「私、24年組の先生たちの作品こそが王道だと思ってきたから、自分が少女マンガからそんなにはずれたものを描いていないと思ってるんですよね(笑)。『何食べ』だって、掲載誌は『モーニング』(※16)だけど、気持ち的には少女マンガです」
──いつでも『なかよし』(※17)行けますよって(笑)。
「そうそうそう。ホント、ホント。別にキスシーンもないし、全然『なかよし』で描けるよって思って(笑)。なにを描いても少女マンガのつもりですよ」