人生の正解はひとつじゃない!
あきらめて「ま、いっか」と思う日もあれば、「若い日と同じように!」と躍起になる日もある。美容面に限らず、仕事のやり方や生き方もだ。
「多子と同じく、私も好きな仕事に力を注いでいますが、しんどいのか楽しいのか、自分でも判別できない。あした死ぬほどキツくはないけど、“ちょっとペース落としたら?”っていう声も聞こえる。でも、人はなかなか変われない。変わるのがいいのか悪いのかもわからない。その戸惑いをそのまま描いています」
雁さんの考え方の中心にあるのは「正解はひとつではない」ということ。大事なのは自分なりに考えて、ひとつひとつ、それぞれ小さな答えをいっぱい出していくことだと語る。
「ペースダウンして安心するならそれもいい。全速力のまま駆け抜けて死んだとしても、それが幸せな人もいる。この作品では、いろんなモデルケースを見せられたらいいなと」
第2のヒロイン・塔子は多子の学生時代の友人だ。大学生のひとり娘を持つ専業主婦で、年のわりにはかわいいほうだと思っていたもののパート先の職場で「オバチャン」と呼ばれて傷つく……。これもまた40代「あるある」!?
「1巻が出て、同年代の方には共感を得ましたが、30代の友達の感想はまっぷたつ。ちょっと先の未来を知って安心した”という意見と“こんなふうになるなんて怖い”と。ですので、2巻の収録分では“年をとっても楽しいこともあるんだよ”という部分を多めに発信しています(笑)」
未体験の楽しいことはまだたくさんある。あきらめもあるぶん割り切ってフットワーク軽く行動できる。20〜30代の「未来を構築するため」の恋愛とは違う形で、恋する気持ちを楽しむことも──。
「つまり、総じてラクになると思ってください!」
多子たちとともに、よりよいあしたを探していこう。
(取材・文/粟生こずえ)
《PROFILE》
雁須磨子さん ◎かり・すまこ。福岡県出身。少女漫画、BL、青年漫画など幅広いフィールドで活躍。『幾百星霜』、『つなぐと星座になるように』、『かよちゃんの荷物』など、著書多数。「Ohta Web Comic」にて好評連載中の『あした死ぬには、』(太田出版)は現在1巻が発売中!