グループ脱退後は、1本の映画出演と、広告やグラビアのモデル活動を除き、主だった活動がなかったソルリだが、転機が訪れたのは2018年。本名のチェ・ジンリをもじったネットリアリティー番組『ジンリ商店』をスタート。その中で、昔からパニック障害や対人恐怖症を抱えていたことを告白し、「つらかったが、どんなときでも助けてくれる人が一人はいて、そのおかげで立ち直ることができた」と明かした。
2019年6月には作詞にも参加した初のソロ曲を発表。また、同月にスタートしたトーク番組『アンチコメントの夜』にMCとして参加。ネット上で誹謗中傷を受けた芸能人が自らの体験を語り、ネットマナーの改善を促すことを趣旨にした番組で、ソルリの発言は、大きな注目を集めた。
番組内で、“ノーブラ騒動”と呼ばれていたブラジャーを着用しない姿を映した写真の投稿について、「ブラジャーは自分にとってはアクセサリー。つける時もあればつけない時もある。写真を投稿するのは、そんなことは大したことじゃないと伝えたかったから」と毅然と語ったソルリ。
『♯MeToo』運動、そしてフェミニスト小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の大ヒットと、女性特有の生きづらさに声を上げる気運が高まっている今の韓国で、ソルリの発言は同世代の女性を中心に大きな共感を獲得。そんな矢先のソルリの死去に、韓国社会には大きな衝撃が走った。
「ネットの実名制」導入を要望
遺書はなく、死を選択した理由は明らかではないが、現地メディアはソルリは長年、患っていたうつ病がここ数か月、さらに深刻な状況となっていたと報道。その大きな原因は、止まないネットの悪質な書き込みであるとし、彼女の死をきっかけに、大統領府のホームページ内の国民請願掲示板には、ネットの実名制の導入を求める声も上がっている。
芸能界でも大きな動揺が広がっており、親友として知られた元KARAのク・ハラはインスタライブで「ジンリの分まで一生懸命生きるから」と大粒の涙を流しながらコメント。
ハラ自身も今年5月に自殺未遂を起こしたが、その後、日本に活動の場を移し、6月より大手事務所の『プロダクション尾木』と契約。復活後は元気な姿で活動を続けているが、多くのファンから寄せられた心配の声に応えるように「私は大丈夫」と繰り返し語り続けた。
また、東方神起は日本活動の合間を縫って一時帰国し、葬儀に参列。交際していたチェザは、自身のSNSに「僕たちは互いの人生において、もっとも美しい瞬間をともにした。このように悲しく君を送ることになってしまったけど、思い出たちは僕の目が閉じる日まで大切にするよ。すごく会いたい」と綴った。そのほか、多くの芸能人がソルリの死を惜しみ、悲しみの声を上げている。
ソルリの葬儀は17日、非公開で行われ静かに見送られたが、その一方、死亡状況などが綴られた救急活動時の記録が、消防署職員によって外部流出したことが発覚。死後も続く冒涜に、人々は絶望をあらわにしている。