日本中を熱狂の渦に巻き込んでいるラグビーワールドカップ。日本代表は1次リーグA組で、アイルランド、サモア、スコットランドと強国を相手に立て続けの勝利。主催国の威信を見せている。
「次の準々決勝は10月20日の南アフリカ戦ですが、本来はNHK BS1での放送を予定していました。しかし、盛り上がりの高さを受けて急遽地上波で放送することを決定。代わりに大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を休止しました。
『いだてん』は13日のスコットランド戦の裏番組だったため、平均視聴率が3・7%と大河ドラマワーストを更新。日本戦を流せるのはうれしいですが、伝統ある大河ドラマのブランドをさらに下げてしまうのではないかと心配な思いもあります」(NHK関係者)
ラグビー放映、軍配はどの局に?
今回のラグビーワールドカップのテレビ放映権に名乗りを上げたのは、NHKと日本テレビだけだった。
「実は、日本テレビって局を代表する世界的なスポーツコンテンツを持っていないんですよ。TBSは陸上、フジはバレーボール、テレ朝はフィギュアというように、他局は世界的な大会の放映権を持っています。しかし、日テレの代表的なスポーツ番組と言えば箱根駅伝や巨人戦くらい。他局がまだ手をつけていないスポーツに賭けてみたいということで、ラグビーに力を入れるようになったんです」(日本テレビ関係者)
そんなラグビー推しが功を奏して、13日に放送した日本対スコットランド戦の平均視聴率は39・2%と、今年放送された全番組のトップを記録。
こうなると、20日の南アフリカ戦ではさらなる視聴率の上積みが期待されるが、放映権を持つのはNHK。日本テレビは、前日に行われる日本がグループ2位になった場合の試合の放映権を持っていた。
「局内では、“日本はうまくいって1次リーグを2位通過”という声が大半でした。それもあって、準々決勝は土曜日の放映権を買っていたんでしょう。でも日本が1位で通過したので、その日はニュージーランド対アイルランド戦になってしまいました」(同・日本テレビ関係者)
“世紀の一戦”の放送を逃したショックは大きいのかと思いきや、どうやら局内はそこまで落胆していないようだ。
「これまで十分すぎるほど、視聴率という意味では貢献してくれましたからね。そこまで高望みしなくていいのでは? と局内は意外と冷静ですよ。仮に南アフリカ戦に勝利すれば、27日の準決勝は再び日本テレビに放映権がありますから、むしろその期待が高まっています」(同・日本テレビ関係者)
そんな“余裕”の日テレとは対照的に、今いちばん頭を悩ませているのはTBSだ。
「その日は午後9時から、木村拓哉さん主演のドラマ『グランメゾン東京』がスタートするんです。順調にいけば、ラグビーの試合が終わるのは8時50分前後でギリギリかぶりませんが、引き分けで延長戦に突入したり勝ったりした場合は、ハイライトや選手インタビューをそのまま視聴者が見てしまう可能性は十分に考えられる。
もちろん勝利を祈っていますが、『グランメゾン~』はTBSが今クール、かなりの力を入れて作っている話題作。視聴率がラグビーに持っていかれてしまう可能性を考えると、制作陣はヒヤヒヤなんですよ……」(TBS関係者)
よくも悪くも、想定外なことばかりが起こるラグビーワールドカップ。絶対に負けられない戦いはテレビ局も同じ。視聴率争いに“ノーサイド”はないようだ。