社会現象になった伝説的大ヒットコミック『DEATH NOTE』(原作:大場つぐみ、作画:小畑健/ジャンプコミックス)をミュージカル化。2015年の世界初演以降、日本のみならず韓国・台湾でも大ヒットを記録した人気作『デスノート THE MUSICAL』が、2020年1月、キャストを一新して上演される。
主人公は「ノートに名前を書かれた人間は40秒で死ぬ」“死のノート”(デスノート)を拾ったことから、犯罪者の粛清を始める成績優秀な高校生・夜神 月(やがみライト)。そのライトを追いつめる頭脳明晰(めいせき)な謎の名探偵L(エル)役に大抜てきされたのは、ソロシンガーとして活動する高橋颯さん(※「高」の表記は「はしごだか」)。エル以上に(!?)独特な空気感をまとっていてる21歳に直撃インタビュー。
エルと自分に通じるものを感じた
「個人的にエルが好きだったので、決まったときはうれしかったです。同時に世界的に愛されている作品で、しかも物語のキーパーソンである重要な役なので、プレッシャーも感じました」
2006年、8歳のときに映画『デスノート』を見て、エルに対して親近感を覚えたという。高橋さんの中でエルはどんなイメージの人物なのか尋ねると、「話しているうちに、質問忘れちゃうんで書いていいですか?」とメモをしながら丁寧に答えてくれた。
「僕がいちばん感情を動かされたのは、孤独な人だというところ。エルのことを見ているとすごく悲しい気持ちになるんです。なんか切ない人だなって。爪を噛んでいる仕草を見て、子どもだった僕には、この子は寂しくて甘えん坊なんだなって思って、自分と通じるものを感じたんです。普通に考えているだけだったら、爪は噛まないですから。
彼にとって、生きることは頭を使って事件を解決することだとしたら、思考と心の支えになっていることは、唯一、爪を噛むことなんじゃないかと思うんです。誰かから愛されている実感がないと人って生きていけないですけど、彼は爪を噛むことでその温(ぬく)もりを思い出そうとしたり、感じようとしているのかなと思って。
エルを演じるときに、エルでさえも気づいていない感情も表現できたら、と思います。エルって声に波がないし、表情もほとんど動かないけど、心は絶対あるので、そこもお客様に伝わるようにしていきたいです」
歌が本業の高橋さんが、ミュージカル初挑戦で掲げる目標は頼もしい。
「漫画とかアニメで何十話もあるものを、たった3時間くらいにまとめて展開するエネルギーを持ったものがミュージカルだと思うので、そこに入ることができるのが楽しみです。
歌うキャラクターではないエルが歌うという時点でけっこう衝撃的だと思うんですけど、音楽が素晴らしく、その不自然さは全く感じないです。歌はさらに練習して、演技は演技でしっかり練習し、自分なりのエルを創れればと思っています。僕の今まで学んできた視点と、ライト役の村井(良大)さんたちの背中を見て吸収させていただくものを両方合わせて、高橋颯と言ったらエル、エルと言ったら高橋颯だよねって思ってもらえるくらいのものにしたいです」