犯行に至ったプロセスは明かされず
虐待関連の著書があるルポライターで裁判を傍聴していた杉山春さんは、次のように説明する。
「被告の心理鑑定をした児童虐待の専門家は、被告の成育歴について少しだけふれていました。両親は不仲で、父親との関係がよくなかったとのことです。しかし彼の詳しい育ちが示されたわけではありませんでした。
また、彼が子育てについて独特の感覚を持つに至った理由も明確にはわかりませんでした。元妻の裁判ではDV(家庭内暴力)の側面がクローズアップされましたが、雄大被告の公判では俎上に載ることはありませんでした」
と雄大被告が犯行に至ったプロセスが裁判で明らかにならなかったことについて、腑に落ちなかったという。
今回の事件などがきっかけとなって、児童福祉司の質の向上や関係機関の連携強化などに力が入れられることになったが、判決は妥当なものだったのだろうか。
かつて児童相談所で児童心理司として勤務していた心理学者の山脇由貴子さんは、こう話す。
「被告には、外部で対人関係が悪く、挫折したストレスを抱えてしまう脆さがあったと思います。外でストレスを押し殺しているぶんを、家庭で発散した結果が今回の悲劇だと思います。非常に悪質な事件なので、個人的な心情として13年は短いと感じました。
ただ、虐待事件は証拠不十分で逮捕されず、不起訴になる場合もあります。それを考えれば、過去の判例から見て、13年は、妥当という面もあると思います」
結愛ちゃんの死を無駄にしないためにも、今回の事件を新たな教訓として、児童虐待の解決策に役立てることが何よりも必要だ。
結愛ちゃんが残した文章の一部
ゆるして きのうぜんぜんできなかったこと
これまでまいにちやってきたことをなおす
これまでどんだけあほみたいにあそんだか
あそぶってあほみたいだから やめるから
もうぜったいぜったいやらないからね
ぜったいやくそくします
ゆるして きのうぜんぜんできなかったこと
これまでまいにちやってきたことをなおす
これまでどんだけあほみたいにあそんだか
あそぶってあほみたいだから やめるから
もうぜったいぜったいやらないからね
ぜったいやくそくします