あらゆるタイプの人間を登場させる思惑
“独身”が一般化しつつある現代社会。ドラマを制作する立場からすると、キャッチーな“時事ネタ”を盛り込むことで、目を引く効果があるという。
「連続ドラマで重要なのは、いかに第1話を見てもらうかということ。その点、時事ネタを入れたほうが注目されやすいということはありますね。前クールで放送されていたTBS系の『ノーサイド・ゲーム』は、ラグビーワールドカップを意識してのことだと思います」(ドラマプロデューサー)
“独身男性の増加”という時事ネタを扱うドラマは、視聴者の関心を引きやすいのだ。
さらに、テレビが中立性や多様性を担保する必要があることも、ドラマのトレンドの変化に関係している。
「いまや王道のラブストーリーを描いているだけでOKという時代ではなくなりました。あらゆるパターンの恋愛模様や人間関係を描こうとする傾向が強くなっているのは確かです。『まだ結婚できない男』には、桑野の妹夫妻のような、結婚して子どももいる登場人物も出てきます。
TBS系の『逃げるは恥だが役に立つ』では成田凌さんが同性愛者の役を演じ、同じくTBS系の『凪のお暇』には、武田真治さん演じるスナックのママも登場します。あらゆるタイプの人物を登場させることで、よりリアリティーが出るのだと思います」(木村さん)
偏った設定では、ネットで炎上してしまう可能性もある。あらゆる人物を描くことは、それを防ぐ効果もあるのだそう。
ドラマは社会を映す鏡─。さまざまな人間関係や恋愛模様を描いているため、その一例として、“独身男性ドラマ”が急増したのだろう。
ハイスペックな一方で、偏屈で皮肉屋な独身男たち。そんな憎めない彼らの日常生活から目が離せないのは、もしかして私たちにも共感する部分があるのかも……?