高利回りの『個人年金保険』

「個人年金保険は基本的には元本保証なので、貯金と考えてかまいません」

 とは北村さん。個人年金保険は、毎月保険料を積み立て、老後に受け取る。普通預金よりはいいものの、利率はほとんど期待できないという。

「ただし、確定申告や年末調整の際、一般生命保険料控除とは別枠で“個人年金保険料控除”が使えます。年間8万円以上の保険料を払っていれば、最大4万円が課税所得から差し引かれます。つまり、税金が安くなります

 例えば所得税率がいちばん低い5%の場合、所得税は2000円安く。さらに、住民税も2800円ダウン。合計4800円の節税に!

「実質6%の利回り。こんなに確実な高利回り商品はほぼありません」

 所得税率が高い人であれば、さらに節税効果大。

「ただし、必ず“個人年金保険料控除の対象となる商品”を選んでください。そして、外貨建てではなく円建ての商品のほうが安心ですね」

税金が安くなる『iDeCo』

老後資金を作るなら、『iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)』。節税できる額が大きいので」

 と、お金三賢人は口をそろえる。iDeCoとは、公的年金にさらなる上乗せ部分が欲しい人のための、私的年金制度。公的年金は国任せだが、iDeCoはすべて自分次第。自ら申し込み、掛け金を払い、運用商品を選び、60歳まで積み立てていく。そして60歳以降に、その運用実績分を受け取る。つまり、自分の選んだ商品の成績によって、受け取り額が変わる“自分次第年金”なのだ。

「特に自営業者は、公的年金制度の1階部分・老齢基礎年金のみで、会社員などにはある2階部分・老齢厚生年金がありません。国民年金の平均受給額は月額5万5000円。それだけではとうてい生きていけないので“自力で私的年金もプラスしてね”と国がお得な仕組みを作り、後押ししているのです」(山口さん)

 自営業者に限らず、会社員や公務員など多くの人に私的年金作りをしてもらうべく、税金面でさまざまなメリットを設けている。

「最大メリットは、所得税と住民税が安くなること」

 と、北村さんは断言。iDeCoへの1年分の掛け金は、所得税と住民税を計算する際に、すべて課税所得から差し引かれる。

「例えば、年収400万円の会社員の場合。所得税と住民税の合計税率は約15%です。iDeCoに年額27万6000円(月額2万3000円)拠出した場合、約4万1400円の節税が可能です」

 それはありがたい☆ ただし、職業タイプによって掛けられる上限額が異なるので確認を。

【iDeCoの月々の掛け金の限度額】
・自営業:6万8000円
・公務員:1万2000円
・専業主婦:2万3000円
・会社員(企業年金なし):2万3000円
・会社員(企業年金あり):1万2000円~2万円
(※会社員は勤務先に必ず確認を)

「税制上のメリットはまだあります。通常、運用で得られた利益(運用益)からは約20%の税金が引かれますが、iDeCoでは引かれません」