ちなみに、iDeCoで運用する商品ってどんなものがあるの?

「iDeCoの商品ラインナップは投資信託、保険、定期預金です。投資信託を選んだ場合、お金を大きく増やせる可能性がある反面、元本割れするリスクももちろんあります」

 と山口さん。さらに山崎さんはこう話す。

「運用益がせっかく非課税なので、iDeCoでわざわざ定期預金を選ぶのはもったいないと思います」

 いいことずくめのiDeCoだが、注意点は?

掛け金は原則として60歳まで引き出せません。それまでに使う可能性のあるお金は除外して、月々の拠出額を決めましょう」(山口さん)

 現状では60歳までしか積み立てられず、加入も60歳未満の人しかできない。

専業主婦は所得税を払っていないため、節税メリットを享受できません。60歳まで引き出せないことを考えると、意味がないと思います。専業主婦なら『つみたてNISA』のほうがいいでしょう」(山崎さん)

 コツコツと積み立て続けたiDeCo。60歳を迎え、お金を受け取る際には3つの方法が選べる。

「まずは、60歳から70歳の間に一時金として一括で受け取る方法。次に、5年以上20年以下の有期年金として受け取る方法。そして、一時金と年金を組み合わせられる場合もあります」(北村さん)

 もし、60歳を迎えたときに拠出した金額よりもマイナスになっていたら?

「そうならないために50代後半で、必ず投資の成績をチェック! プラスだったら、積み立ててきたものを売却し、そのお金で定期預金など元本保証の商品を買い直せば、利益を確定させられます。

 もし、60歳直前で値下がりに気づいたら、プラスになるまで待つのもひとつの手。受け取り期限は70歳ですから、10年あります。その間に局面が変わる可能性は高いです。iDeCoは、加入期間が見直される可能性が高いので、何歳まで掛け金を積み立てできるか、今後のニュースに注目です」(山口さん)

初心者に親切な『つみたてNISA』

「『つみたてNISA』も、税金面のメリットがあるのでおすすめですよ」

 とは山崎さん。

「日本では預貯金をする人が多く、資産運用をしている人は少ない。さらに少子高齢化で、年金の財源も心もとなくなっている。国は個人による長期の分散投資を活発化させるべく、税金面での優遇措置を用意しているわけです」

 通常、運用益からは20%の税金が引かれるが、つみたてNISAでは0円。

「対象商品は、基本的には投資信託です。そして、そのラインナップは、すべて金融庁のお墨つき。手数料が高いものや、投資効率の悪い毎月分配型などの“地雷”はあらかじめ取り除かれているので、投資初心者には親切です」

 つみたてNISAを利用できるのは、日本在住の20歳以上。iDeCoに加入できない60歳以上も利用できる。でも、iDeCoとつみたてNISA、どっちをやるのがいいの?

iDeCoとつみたてNISAは併用できます。iDeCoをやって、まだ余裕資金があればつみたてNISAも始めるといいでしょう。あるいは、運用にまわしたお金を60歳を迎える前に使う可能性を残しておきたい人は、つみたてNISA。iDeCoは60歳になるまで引き出せませんからね。そして、iDeCoの節税メリットが受けられない専業主婦は、つみたてNISAですね

 つみたてNISAに投資できるのは、年間40万円まで。非課税期間は20年。

「毎月1万円くらいから始め、徐々に運用に慣れていくといいでしょう。お金を増やすコツは、長期・分散投資・低コストです」