テレビドラマ界にも新しいスタイルを生み出した作品が誕生した。ドラマウォッチャーの田幸和歌子さんは、

「今年4月から放送された日本テレビ系のドラマ『あなたの番です』(以下、『あな番』)は、今年を代表する作品ですね。田中圭さん主演の本作は、3か月1クールという連ドラの常識を覆して、2クールでの放送。

 ストーリーも“交換殺人”というテーマの新しさもありました。最初は視聴率も芳しくなく、評判も微妙でしたが、どんどん右肩上がりで数字も評判も上がっていきました」

ネットを巻き込んだドラマ作りが評価

 本作のキーワードは『考察』。

「ドラマを見るだけじゃなく、SNS上で視聴者が“誰が犯人なのか”を予想し合ったり、ネットで『考察』のまとめサイトが作られるなど、ドラマが能動的に楽しめることを提示したことはすごく新しかったと思います。

 能動的に見る流れは、前クールに同局で放送された菅田将暉さん主演の『3年A組』から話題になっていて、『あな番』で花開いたというわけです。テレビ離れしていた若い世代を呼び込んで、業界への影響が大きかったと思います。今年のトレンドであり、今後もネットと連動したドラマというスタイルは増えていくと思います

 だが、そんな『あな番』も最終回の評判はすこぶる悪かったとか……。

「『考察』が盛り上がりすぎてしまうと、制作者がその裏をかくことばかり考えてしまうのでしょう。結果として、『あな番』も考察を越えるようなエンディングを迎えられず、よくわからない終わり方をしてしまいましたね。ドラマのスピンオフ作品が有料の動画配信サービス『Hulu』でしか見られないという仕組みも不評で……」

 今期のドラマで注目しているのが、生田斗真主演のドラマ『俺の話は長い』(日テレ系)だという田幸さん。

「1時間のドラマで、30分×2本立てという仕組みは、かなり実験的な試みです。若い世代はちょっと退屈だと、すぐスマホなどに興味を奪われてしまう。テレビにスピード感が求められる中で、フレッシュな提案と言えます。この作品がヒットしたら、『あな番』のような新しい潮流になるかもしれません」

 2019年も残すところ、あと2か月。今年を振り返ってみて、あなたにとっての“流行語”は何でしたか?