舞台俳優を羨ましく思っていた
俳優生活20年のキャリアを考えると意外だが、舞台デビューは2014年と遅かった眞島さん。
「ずっと舞台に憧れはあって。役者を目指し始めたころに入った養成所の舞台にアンサンブルで何本が出してもらったことはあったのですが、映像のほうに進んでしまったので関わりがなくなってしまったんです。
それからドラマや映画の撮影現場でいろんなタイプの役者と共演していくうちに、同年代でも後輩でも舞台経験が豊富な方たちと出会って。彼らと一緒に芝居をすると面白いんですよね。すごくアイデアもあるし。そこにコンプレックスじゃないですけど、うらやましい気持ちがずっとありました。
だから、ここ数年、毎年、声をかけていただいて舞台をやれていることがすごくうれしいんです。1年に1本、舞台で鍛え直してもらって、映像でまたいろんな役柄を演じられるというのが、今とてもバランスがいいです」
『月の獣』がどんな舞台になればいいと思いますか?
「少ない演者で作る、ある家族の限られた世界観の話ですが、そこにある普遍的なところをお客様に感じていただきたいと思います。
座組としても、年末ですから最後に“すごくいい芝居になったね”って、キャストとスタッフみんなで美味しいお酒が飲めるような舞台にしたいです」
『月の獣』
第一次世界大戦時のオスマン帝国(現・トルコ)の迫害により家族を失い、アメリカへと亡命した青年・アラム(眞島秀和)は、写真だけで選んだ同じアルメニア人の孤児の少女・セタ(岸井ゆきの)を妻として呼び寄せる。
理想の家族を強制するアラムだが、幼く心に深い闇を抱えるセタは期待に応えることができない……。お互いの過去を受け入れ真の夫婦になっていく愛の物語。作:リチャード・カリノスキー 演出:栗山民也 12月7日~23日@紀伊國屋ホール【公式サイト】https://www.tsukinokemono.com
ましま・ひでかず 1976年11月13日、山形県出身。1999年、映画『青 chong』で俳優の道をスタート。映画、テレビドラマ、CMなど幅広く活躍。主な出演舞台は、『海の夫人』、『鎌塚氏、腹におさめる』、『チャイメリカ』など。現在、映画『蜜蜂と遠雷』公開中。2020年には大河ドラマ『麒麟がくる』が控える。初の写真集『HM』(ワニブックス刊)発売中。
取材・文/井ノ口裕子 撮影/森田晃博 スタイリスト/momo ヘアメイク/遠山美和子(THYMON Inc.)