事件3日前の奇怪な行動
別の近隣女性はこう話す。
「女装といっても化粧をしているわけではなく、きれいに見せたい感じはなかった。ワンピースの背中のチャックは上まで閉まっていなかったし、お母さんの服をただ着ていただけなんじゃないかしら」
同時に乱暴で勝手な言動も目立つようになった。ゴミ収積所のルールを守らず、回収日でもないのに粗大ゴミを出し、この近隣女性がそのことを注意すると、
「関係ないだろ!」
と、キッとした目でにらみつけられたという。
ほかにも、近隣宅の自転車を無断で乗り回したり、事件の3日前には、
「ラジカセを持って、地元の福祉関連施設に乗り込み、ひとりで歌ったり踊ったりして、来訪者やスタッフを困惑させていたそうです。今後の対応を考えてか、騒動直後に施設関係者が“女装した男性のお宅はどちらかわかりますか”と訪ねてきました」(前出の主婦)
女装のきっかけはわからないが、急速に変貌していったことは間違いない。
その日、自宅で母親と哲史容疑者のあいだに何があったのか。黒いビロードのブレザーをよく着ていたという母親はこのところ、病気を患ったのか、ひざが曲がらず地面を擦るように歩いて買い物に出かけていた。背中を丸めて下を向きがちだった。抵抗する力など、ほぼなかっただろう。
息子は、女装でうろつくことをとがめた母親に腹を立てたのだろうか……。