経験不足のアルバイト医師
美容外科は形成外科を専門に学んだ人間が担当すべき分野だと私は考えています。ところが、実際には専門ではない、前歴が内科とか外科という医師がたくさんいます。
さらにはこれも美容外科のあしき習慣なのですが、美容外科、形成外科のトレーニングをされていないアルバイト医師が少なくないのです。
普段は、ほかのクリニックに勤め、休みの日だけパートタイムで美容外科手術をしているなど、パターンはいろいろです。それは違法ではないし、いい結果が出るのならいいけれど、やはりトラブルというのはそういうところから起こりがちです。
そもそもそんなアルバイト医師に大事な手術を任せたいと思いますか? 失敗しないためには医師の経歴を確認することも重要でしょう。
リスクを十分に説明しない
美容外科の難しいところは、仕上がりが患者さんのイメージどおりにいかないケースがあることです。
手術は魔法ではないから、限界もあるわけです。そこをちゃんと事前に説明しておく必要があります。
例えば二重手術の埋没法はとても手軽な手術ですが、あれは永久的なものでないことをご存じでしょうか? 3年から5年もすると元に戻ってしまうことが多いのです。中には20年以上もつ人もいるけれど、そうしたケースは少ないです。それもリスクのひとつとしてちゃんと手術の前に言っておく必要がありますが、リスクの説明をしないで、いいことばかり並べる医師は信用できません。
希望を無視してやりたい手術をすすめてくる
驚くべきことに美容外科の中には、患者さんの希望は二の次で、「自分がやりたい手術だからすすめる。自分ができない手術はすすめない」という考えの人が少なからずいます。
美容外科医だってオールマイティーではないので、その術式はできないとか、あまり経験がないということもあるわけです。しかし本来、美容外科医はすべての施術のメリット・デメリットを理解したうえで、最善の方法を患者さんにすすめるべきです。そのうえで自分が治療できない場合は他院であろうと、得意な先生を紹介するべきです。
もしも迷いがでたのなら「先生の提示された方法以外の治療法はありますか?」と聞いてみましょう。そこで提示した以外の方法も説明して、患者さんにどの方法が最適なのかをきちんと説明できるかどうかで、その医師の質を見極める必要があります。きちんと説明をせずに自分の得意な治療をしきりに勧めてくるような医師は信用してはいけません。
美容外科は、みなさんがきれいになってコンプレックスを克服できたり、人生を明るく生きるための医療です。その美容外科で、思わぬ落とし穴に落ちないために強い気持ちをもって、自分が信頼できる医師に相談することが、理想の自分に近づくはじめの一歩なのです。
『32歳の悩める女子が美容外科医に聞いてみた「痛い?」「こわくない?」「いくらなの?」』(現代書林)著者=丸山直樹
失敗しない美容外科の選び方がわかる決定版。きれいごといっさいなし! 多くの女性が知りたいと思う、本音トークがさく裂です。対話形式で、二重手術、脂肪吸引、豊胸手術、輪郭形成、わきが・多汗症治療、刺青・タトゥー除去を詳しく解説。失敗しないためのチェックシート付き。 楽しみながら、美容外科医療の裏側まで、よくわかる一冊です。
丸山 直樹●まるやま・なおき●医学博士。銀座マイアミ美容外科院長。日本専門医機構形成外科領域専門医。昭和大学藤が丘病院形成外科兼任講師。1978年愛知県豊橋市生まれ。2004年昭和大学医学部卒業。2004年聖隷浜松病院勤務、2007年昭和大学形成外科学教室入局、2013年より昭和大学藤が丘病院形成外科兼任講師。2014年大手美容外科医院入職、2015年同院統括院長就任。2017年銀座マイアミ美容外科開院、2018年医療法人社団形星会理事長就任、2019年銀座マイアミ美容外科SALONE開院