タクシーで喋り続けたら…

「役作りでは、いまも活躍されている活動弁士の坂本頼光さんから毎日3時間、7か月ほど訓練を受けました。声を張ることでノドに負担がかかってくるので、1日3時間以上の練習はできなかったですね。

 最初は、うまくしゃべれなくて本当につらかった。3か月くらいたったときに、自分のリズムみたいなものがつかめて。そこからは楽しかったです。移動で乗ったタクシーの運転手さんに“活動弁士”を知っている方がいて、訓練を少し披露したら“すごいですね! タダにしてあげるよ”と言ってくださったこともありました(笑)」

 映画を見たしゃべりのプロ、徳光和夫や古舘伊知郎にも絶賛されたという。

「本当にうれしかったです。このおふたりに褒められたら、太鼓判を押された感じがしますよね。徳光さんとは番組のロケでご一緒したんですが、同じバスに乗った乗客の方や、街で会った人たちにも映画をすすめてくださって。カメラが止まっているところでも“お世辞じゃなくて、本当に素晴らしい”って言ってくださいました。

 いろいろな方にいい反応をいただいて、俳優としての自信がどんどん湧いてきています(笑)」

 さらに、特別な人からもいい感想が聞けたそう。

「初めて両親が褒めてくれました。ふたりとも“面白い!”って。これまでの作品も見てくれています。だから、うれしかったですね。あっ、父は『ニワトリ★スター』という映画だけは見てくれていないんですよ。理由を聞いたら“だって、凌、死ぬんでしょ”って。かわいいですよね(笑)」

 この作品と向き合った時間、出会った人、結果、すべてを含めて宝物のような初主演映画になったと語る。 

「『カツベン!』でみんなが“楽しい”って思ってくれるものが作れたので、来年も同じように楽しいと思っていただけることに挑戦していきたいです。しばらく、テレビドラマをやっていないので、できたらいいなと思っています」

去年のクリスマスは小栗旬の家へ

 映画公開直後のクリスマスはどう過ごす?

「何の予定もないです。去年は……、あっ、そうだ! 小栗(旬)さんが誕生日(12月26日生まれ)だったから、小栗さんの家に行きました。

 子どもたちに遊んでもらって(笑)。クリスマスだから、誕生日だからって、何かしたいとは思わないほうですね。誕生日もなるべく少人数で、飲むほうがいいかな。人数が集まったら、それはそれでうれしいんだろうけど、なんか恥ずかしい(笑)。僕、あまのじゃくなところがあるんです

 子どものころ、一緒に活動写真を見た初恋の相手を思い続ける俊太郎。成田さんの初恋の思い出は?

「小学生のころのバレンタインで、たぶんお互いに好きだよねっていう女の子から「机の横に引っかけておいたから」って言われて。「えっ、何?」って聞き返したら「チのつくやつ」って。チョコレートってわかっているのに、ありがとうじゃなくて「何を?」ってテレた甘酸っぱい記憶があります(笑)」