「ここのイタリアンは正造さんがおいしいと言うから来てみたけれど、味つけが濃いね」「このアトラクションに乗りたいと言うから来てみたら、すごい混んでるじゃない」「テレビで、これをお腹周りに巻くと痩せると言っていたから買ったのに、ちっとも痩せないわ」
とっかかりは人から勧められたのかもしれません。でも、そのレストランに行くこと、そのアトラクションに乗ること、その商品を買うことを最終的に選んだのは裕美さん自身のはずです。
そんな反応を見るにつけ、正造さんは裕美さんと一緒にいることに疑問を抱くようになりました。そして先日、仕事の愚痴をこぼす裕美さんの言葉を聞いているうちに、「彼女との結婚は、やめよう」と思ったそうです。
裕美さんの愚痴は、仕事場の人間関係から学生時代の進路にまで遡っていきました。
「そもそも公務員になんてなりたくなかったのよ。本当にやりたかったのは、日本の歴史の研究をすることだった。大学も本当は○○大学に行きたかったのに、父親が『××大学に行け』と言うから、仕方なくそっちに行ったの。親の言うとおりに生きてきて、本当に嫌な思いばかりをしている」
行きたい大学に行かなかったことも、やりたい仕事に就かったことも、すべてが親のせいでした。
正造さんは私に言いました。
「どんな人生も山あり谷ありで、いいこともあれば悪いこともある。彼女と結婚してもしも悪いことが起こったら、『あなたと結婚したから、私の人生は不幸になった』と言われそうじゃないですか」
親も、人生の先達も、友だちも、悩んでいるときにアドバイスをしてくれます。でも、そこで何を選んでどういう行動を起こすかは、ご自身の選択なのです。
こうして正造さんは、裕美さんに交際終了を出しました。
同じ事象でも、人によって捉え方が違います。でも、それをプラスに捉える人は前に進むことができます。マイナスに捉える人はどんどん後ろに下がっていきます。
どちらの人生を送ることが幸せかは、みなさん、もうお分かりですよね。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/