「病気」と「食」の正確な知識を持つこと

 歴史本というと「難しいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、縄文人は虫歯が多く、犬を飼っていたこと、ある有名武将が食事に気をつけたら歴史が変わったかも、といった面白い話や新たな発見がたっぷりと詰まっていて、楽しく読むことができます。

奥田昌子さん 撮影/渡邉智裕
奥田昌子さん 撮影/渡邉智裕
【写真】丁寧にインタビューに答える奥田さん

「これからも日本人がもっと健康になり、寿命を延ばしていくには、医学の進歩や、医療を受けやすくする行政の仕組みなども大事ですが、それに勝るとも劣らないのが、健康意識を持っていただくこと、そして正確な知識を持っていただくことなんです。

 間違った健康情報は逆効果になることもあります。正しい知識を、私が微力ながら著書を通じてお伝えできるお手伝いができたら幸せだなと思っております。ぜひ本書を読んで、和食の歴史、養生の知恵について考えていただきたいです。

 またお子さんやお孫さんと、普段の食事がとても大事なんだよということをお話しして、次の世代へ伝えていただけると、みなさん健康になれると思いますね」

ライターは見た!著者の素顔

 普段の食生活は?

好き嫌いはないのですが、動物性の食品は好んでは食べませんね。そのかわりお魚や大豆製品は1日1皿は食べるようにしています。そしてお腹がすいていなければ食べません。今の時代、1食くらい抜いても栄養失調になることはありませんから(笑)。

 また『あとで食べられないから』と一気にたくさん食べるのもいけませんし、『残すともったいない』というお気持ちは尊いのですが、お腹がいっぱいだったら途中でもやめるべきですね。人が何を言おうと『こうしたら体調がいい』という自分の感覚と経験を大事にして、続けて行うようにしてください」

(取材・文/成田全)


『日本人の病気と食の歴史』(KKベストセラーズ)奥田昌子=著 900円(税抜)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
●PROFILE●
おくだ・まさこ 愛知県生まれ。京都大学大学院医学研究科修了。著書に『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防』『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』『「日本人の体質」研究でわかった長寿の習慣』など。