――ナイツは漫才だと本当に優等生みたいな印象ですけど、テレビとなるとまた全然違うんですね。
違うと思いますよ。この前もスーパー・ササダンゴ・マシンさんがラジオのゲストで来たときに「これからのナイツに必要なこと」っていうプレゼンをしてくれたんですよ。
そこで指摘されて愕然としたのが、僕らって好きな芸人ランキング8位とかなのに、ゴールデンのレギュラー番組が1本もないんですよ。「それはナイツさんだけです」って言われて、確かにそうだなと思って。だから全然テレビに向いていないんだろうな。華がないっていうのはもちろんあるんですけど、それ以上に何か欠落してるんだなと思いますけどね。とくに俺に。だからもうしょうがないなって思いました。
――塙さんはもともと電気グルーヴが好きで、ラジオとかも聴いていたんですよね。だから、ああいう笑いの感覚が染み付いているというところもあるんでしょうか。あれって今のテレビのゴールデンタイムの番組のノリとは全然違いますよね。
違いますね。昔、電気グルーヴが『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)に出たことがあったんですよ。そのときにダチョウ倶楽部さんも出ていて「聞いてないよ!」がめちゃくちゃ流行っていた時期だったのに、(ピエール)瀧さんがずっと「聞いてるよ!」って言っていて(笑)。
浜田(雅功)さんに「お前、そういうこと言うなよ」って叩かれていたんですけど。それってもう芸人よりも面白いわけじゃないですか。そういうことをずっと言うんですよ、あの人。それが面白いと思って見ちゃっていたから。やっぱり「電気グルーヴ」イズムというか、破壊するのが面白いというのがあるのかもしれないですね。だから、僕らが今ラジオをやれているのもうれしいんですよ。もともと電気グルーヴのラジオを聴いていて、ラジオに興味を持っていたから。
――電気グルーヴのテクノの音楽性がナイツの漫才に影響を与えたという話も聞いたことがあるんですが、そっちだけじゃなくて純粋にお笑いというかエンタメとしても影響があったんですね。
電気グルーヴに関しては、お笑いとしての影響も相当受けています。
今は「ツッコミが強すぎる時代」
――塙さんがご著書で書かれていて興味深かったのが、今はツッコミが強い時代だから、もっと強いボケの芸人にも出てきてほしい、ということです。
そうなんですよね。ボケが潰されちゃうんです。
――そこはもどかしいところがありますか?
ボケを潰す言葉が多すぎますね。ツッコミのほうが絶対勝つだろう、っていう。野球で言うと投高打低ですね。ツッコミの球種が増えすぎちゃって、それはもう打てないだろうっていうことですね。
今まではストレートとカーブぐらいしかなかったのに、カットボールとか手元で曲がる球が増えていて。もう怖くてボケられないんですよ。だって、ボケたら「こいつトガってる」「空気読めない」とか言われちゃうわけです。それはボケにとってはなかなか不利ですよ。