妻の闘病を無視し、不倫相手と同棲を開始
志保さんの仕事は雑誌広告のデザイナーでしたが、治療の副作用で重度の貧血を患い、仕事を続けることが難しい状況に。志保さんはフリーランスなので闘病中は収入が途絶えてしまい、身体的、経済的に追い込まれるなか、不安な気持ちを夫へぶつけてしまったそう。
例えば、夫の留守電に「もう消えてしまいたい」と残したり、夫が出る前に電話を切ったり、夫が電話に出ても無言のままにしたり、「死にたい」とメールを送ったり……そんな夫への孤独な訴えは1日10回にとどまらず、どんどん増えていき、夫が帰国する直前には1日30回を超えていたのです。すると夫が1通のメールを送りつけてきました。「しばらくの間、ウイークリーマンションを借りて様子を見させて」と。
夫が家に帰らない理由は志保さんのヒステリーに耐えかねたからではありません。夫は頑(かたく)なに帰国後の住所を教えなかったのですが、それもそのはず。ウイークリーというのは真っ赤なうそで、正しくは2DKのマンション、つまり、別の女と同棲を始めたのです。夫の言動を怪しんだ志保さんは、早々に興信所に夫の尾行を依頼しました。
するとある日、夫は彼女とレストランへ。食事を楽しみ、最後に彼女へ「HAPPY BIRTHDAY YUKI」と書かれたスイーツプレートが運ばれてきました。夫の誕生月ではないので彼女の誕生日を祝っていたのは明らかでした。ほかにも席はあるのに、わざわざ1階の窓側を選んだのは、最初から隠すつもりがなかったからでしょう。そして食事を終えた2人は愛の巣に帰っていったのですが、その一部始終は興信所の撮影した動画に記録されていました。
志保さんは興信所の証拠を突きつけたうえで「どういうことなの?」と問いただしたのですが、夫いわく、彼女は会社の同僚。5年前に夫が手がけたコンサートの映像を見たことがきっかけで入社したそうです。彼女にとって夫は憧れの存在なので、仕事の悩みを夫に相談するのは当然の流れでした。そんなふうに距離を縮めるうちに男女関係に発展し、帰国時に会うだけでは飽き足らず、海外の現場に彼女を呼び寄せることもあったそうです。
夫は志保さんの病気のことを最初から知っていました。先々のことはともかく、当面の間は闘病中の妻を支えるべきで、志保さんは夫が彼女と別れ、部屋を解約し、自宅に戻ってくると思い込んでいました。
しかし夫は、
「もう我慢しないって決めたんだ。人間、いつ死ぬかわからないだろう? お前たちに縛られたくないんだ」
と言い放ったのです。それは彼女との同棲を続けることを意味していました。
「納得できない! 捨てないでほしい。私の人生はあなたがいないと意味がない」
と泣いて懇願する志保さんなど、眼中にないという感じで。