日本製オリジナルミュージカルの最高傑作と、ミュージカルファンが愛してやまない作品がある。それが、1988年に音楽座の旗揚げ公演として初演された『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』。
繰り返し上演され、観客を感動で包んだこの作品が、初めて東宝製作のミュージカルとして上演されている。この作品で2役に挑戦中の上原理生(りお)さんは「人の人生を変えるような力をもった名作に出ることができて、本当に光栄です」と語る。
じわじわ伝わる、和製ミュージカルの傑作
「ミュージカル界を背負うような豪華キャストの先輩方と共演できるのもうれしいことですが、その中には土居裕子さんをはじめ音楽座でこの作品に携わった方が何人もいらっしゃいますし、福井晶一さんなど、この作品を見て“ミュージカル俳優になる!”と決めた方もたくさんいらっしゃる。改めて作品の力を感じますね」
上原さんは、この作品に「グランドミュージカルにはない魅力」があると感じているそう。
「ストーリー的に激しい起伏があるわけではないんですが、見ているうちにじんわりと温かいものが心の中に広がっていくような、そんな作品だなぁ、と思いました。
ドーンとインパクトの強いものがくるんじゃなくて、本当に大事なものは目に見えない、些細なことが幸せをつくるんだ、というシンプルなメッセージがじわじわと伝わる。それが人の心をつかんで離さない、このミュージカルの魅力なんじゃないかな」