百貨店に入社した後、転職してメーカーなどを渡り歩き、現場での経験は30年以上の“接客マスター”の真澄さん(写真・右)と、小売店で販売員をする傍ら、コンサートの受付や、イベントなどでの接客もこなすベテランの村江さん(写真・左)

「ドコモ代理店で店員がお客さんをディスったメモが拡散して大炎上しましたけど、“相手を選べない接客”にさらされている人たちは表に出していないだけで、だいたいあのようなメンタルになっていると思います。

 一部の“汚客”によって店員のメンタルがどれだけ病むか、世間は理解しないとサービス業という仕事はどんどん衰えていくと思います」(都内在住・飲食店勤務の女性)

“クズ”を相手にするのは本当に苦痛

 今年の1月8日にツイッターで、ある販売メモがさらされた。それはドコモ代理店の店長からのセールス指示書。

《親代表の一括請求の子番号です。つまりクソ野郎》《親が支払いしてるから、お金に無トンチャクだと思うから》

 と、より高額なプランへの誘導を促すものだった。このメモが、客へ渡す書類に誤って紛れていたことで存在が発覚。侮辱されたと客側がツイッターで公開したのだ。

 このツイートは瞬く間に拡散され、テレビなども報道。問題となった代理店の運営会社は謝罪文を出し、当事者に対して厳正な対処を行う、と発表した。

 今回の騒動、販売や接客といった仕事に就いている人たちはどう思っているのだろうか? ネットアンケートで意見を募ってみると、相手に“心の声”を伝えてしまったことは完全にNGだが、接客しているほうだってストレスを抱えている、といった声が多く寄せられた。冒頭の飲食店勤務の女性もそのひとりで、

「非常識な“クズ”を相手にしなくてはいけないのは、本当に苦痛」

 とまで毒を吐く。アンケートでは9割近い人が、接客中にお客さん相手に不愉快な思いをした経験がある、と答えた。

「閉店時間でも帰らずに居座る」(飲食業・30歳女性)

「商品が欠品していることを伝えると、どうしてないんだ、とキレられた」(販売業・22歳女性)

「お客さん自身の勘違いで違う場所へと案内したら、“ここじゃない”と理不尽に怒鳴られた」(添乗員・47歳女性)

「上から目線で、やってもらって当然という横柄な態度」(販売業・50歳男性)

「『お客様は神様』だろう、と言われて上から目線でいろいろと指示された」(アパレル関係・32歳女性)


【接客業100人にアンケート(アスマーク調べ)】

Q1 接客をしているとき、お客さん相手に不愉快な思いをした経験はありますか?
A1 はい……87人 / いいえ……13人

Q2 『お客様は神様です』という言葉、本当だと思いますか?
A2 思う……14人 / 思わない……86人