昨年2月、競泳の池江璃花子選手が急性リンパ性白血病を公表した際には、同じ病気から復帰したアスリートとして名前を挙げられることも多かった。しかし同じアスリートだからこそ、安易に復帰の言葉を出してほしくないと訴える。
「病気の状態や進行は人によって違います。だから僕が復帰できたからといって、今の医療なら治るというものでもないことはわかってほしいし、本を書くうえでもその部分は気をつけました。
また病気を克服しても、プロスポーツ選手として病気前の状態に戻すのがいかに大変なことかは、僕自身が痛感していること。周りが池江さんの復帰を期待するような言葉をかけるのは、変なプレッシャーを与えないか心配です」
早川さん自身はプレーするうえで病気を言い訳にしたくないとキッパリ。
「サポーターは僕が白血病だったことを知っているので、優しく見守ってくれる方もいますが、プロとして試合に出ている以上は病気だったことを言い訳にしてはいけないと思っています」
プロサッカー選手として、またひとりの人間として再び歩き出した今は「楽しい」と微笑む。
「つらいことも含めて、いろんなことを経験して前に進めている今は楽しいですね。人生、健康あってこそなので、この本が身体の大切さに目を向けるキッカケになってくれたらうれしいです」
ライターは見た!著者の素顔
振り返るのもつらそうな闘病生活を送っていたにもかかわらず、「病気になった僕が発信する意味は大きいと思うので」と質問に真摯に答えてくれた早川さん。タイトルもいろいろ悩んだそうだが、「この病気は完治するものではなく、完結したわけではない。この本を読んでくれた方にも、その先の人生があるので」と、このタイトルに。
ちなみに『ありのまま』という案もあったそうだが、「僕のありのままを書いたので、タイトルからははずしました」とのことでした。
(取材・文/大嶺こず恵)
はやかわ・ふみや 新潟県出身。『2011 FIFA U-17ワールドカップ』に日本代表として出場。'16年のJ1開幕節・湘南戦に先発フル出場デビューするも同年、白血病を発症。昨年10月5日、J2第35節・鹿児島戦で1287日ぶりに公式戦復帰を果たした。