いつの間にか事故物件に住んでいる可能性も
また、事故物件であることを不動産業者が知らないケースもある。物件の売買でオーナーが代わったときや、管理会社を変えたときなどに情報が正しく伝わらないことがあるからだ。
「業者によって事故物件の受け取り方が違う。他殺と自殺は説明するけれども、病死は言わなくてもいいだろうと判断する業者はいますから。オーナーだって、家族5人で暮らしていて、おばあちゃんが病気で亡くなっただけで即、事故物件とするのは難しいでしょう。他人からみたら“事故”でも、当人からしたら“事故じゃない”と思えるケースはあるんです」
と前出の業者は判断の難しさを語る。
いつの間にか、自分が事故物件に住んでいる可能性もあるという。
「オーナーが物件を持っていて、管理会社が管理していて不動産会社はそこに空いているかどうか問い合わせするだけ。状況を把握しているのはオーナーや管理会社なんです。不動産会社が管理会社から伝えられていない場合もありますので、知らず知らずのうちに事故物件に住んでいる、ということもあるかもしれません」(同前)
マンションやアパートなどで事件や自殺があった場合、当該の部屋ではないと“蚊帳の外”となることも。
「例えば、マンションで飛び降り自殺があったとします。室内で亡くなったわけではないが、マンション全体が事故物件になるか難しい。ある部屋で事件などがあった場合でも、当該の部屋だけではなく上下左右の部屋にも伝える必要があるか、という線引きも難しい。説明されないことも少なくないと思う」(同前)
見た目で物件を見分けるのは難しそうだが、業者のよしあしはある程度、判断できそうだ。
この大阪の業者は、
「誇大広告、おとり広告を載せている業者はアウト。目を引く安価な物件を広告に載せてお客さんを呼び、問い合わせに“空いていますよ”と言っておきながら、来店時には“さっき決まってしまった”とはねつける。あてがはずれたお客さんは、せっかく不動産会社まで来たのだからと別の物件を紹介してもらうことになりやすい。こうした広告の展開は大手企業もやっています」
と指摘する。
ガイドラインができるのはまだ先の話。
安心して暮らすためには、業者を見極める目を養う必要がある。