新型コロナ担当、自殺した男性との共通点
市職員は自殺をほのめかすメモを残していたというが、
「市教委も内容は把握できておらず、自殺の原因はわかりません……」(前出・担当者)
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、
「自殺は複数の原因が偶然、重なったときに起きるといわれています。教員間いじめの問題の超過勤務や批判だけでなく、直前に異動しており、慣れない業務のストレスもあったのではと推測できます」
と原因について説明し、
「つらい状態にあったのは確かでしょう。彼は“大丈夫”という姿勢を崩せなかったのかもしれない。誰にも相談できないのは、たいていはまじめな人です。公務員は一生懸命やっても評価されず、事件が起きれば文句を言われる」
と普通以上にストレスが負荷になる点を指摘する。
つい先日、新型コロナウイルスの最前線業務に、警視庁から出向していた内閣官房の男性係長(享年37)が飛び降り自殺するという痛ましい事件が起きた。両者の死の共通点について前出・碓井教授は、
「突然起きた、前例のないことに急きょ対応しなければならず、対応しながら不満のバッシングを受けていた。ストレスがたまるのは無理もない」
2人には係長=中間管理職という共通点もあった。
いじめ事件被害のX教員は心も身体も回復しつつあり、教壇への復帰に向け調整を進めているところだというが、
「メディアには触れないように伝えてあるので、この件を知らないかもしれない……」
と代理人弁護士は明かす。
もしX教員がこの事実を知り「自分の事件で……」となれば自らを追い詰めかねない。
市職員が飛び降りた現場は生まれ育った神戸市街を一望できる。その橋を、なぜ最期の場所に選んだのか。いじめ事件がなければ、失われない命だったかもしれない。