では、具体的な判断基準を示します。次の20項目について明確にしてください。それぞれ、費用についても考えて(見積もって)みます。しっかり向き合ってみましょう。
(1)子供はいる? いない?(教育費はいくら?) (2) 離婚後、子供の将来はどうしてあげたい?(子供費) (3) 離婚後、住む家はある? ない? どこに住みたい?(住居費) (4) ペットの有無は?(飼育費、住居費の加算) (5) 食材へのこだわりはどの程度?(食費) (6) 日常生活へのこだわりは?(生活雑費) (7) 外食は多い?(外食費) (8) 健康状態は?(医療費) (9) 健康維持や体形維持のために何かしている?(健康促進費) (10) 美容にはどれくらいのエネルギーを使っている?(美容費) (11) ファッションはどんなものが好き? どれくらいの頻度で購入する?(被服費) (12)習い事はしている? これからしたい?(趣味・教養費) (13)女子会やランチ会で忙しい?(プライベート交際費) (14) 友達・親戚は多い?(パブリック交際費) (15)向上心は高い? 資格とか取得したい?(MY教育費) (16) お出かけ好き? 割と遠出する?(交通費) (17)ストレス発散でお金を使うタイプ?(人生防衛費) (18) 旅行は好き? 行きたい場所はある?(レジャー費) (19)親兄弟に支援が必要?(援助費) (20) そのほかに譲れない支出はある?(その他費用)
92歳まで生きる前提で「ライフデザイン」してみる
この20項目を明確化することは、「ライフデザイン」を描くことにほかなりません。離婚した場合を想定し、できるだけ長期にわたっての人生のデザインを描いてみてください。何歳まで描けばいいのか? 女性の場合92歳までをオススメしています。女性がいちばん多く亡くなるのが92歳だからです。
それでもまだ迷いが残り決断できない場合は、ファイナンシャルプランナーに相談をすることをオススメします。そこで「ライフプランニング」(LP)をしてもらうといいでしょう。LPから、一生涯のキャッシュフローを見通すことにもつながります。
例えば、いま親子3人、ぜいたくでこだわりのある食生活をしているAさんが離婚した場合、その食費はどうなるでしょう。夫がいなくなって親子2人になっても、食費が3分の2に減ったりしないと思います。もしかしたら、支出が増えるかもしれません。Aさんはシングルマザーになり、疲れて夕飯を作る回数が減り、デパ地下でお総菜を購入したり、外食が増えたりする場合もあるでしょう。
また、現実的な話として、離婚後は「飲み会」(プライベート交際費)が増えます。気を使わなければいけない夫がいなくなると、途端に妻は羽目を外す機会が増えるようです。「離婚の報告」をするために人に会う機会も増えてしまい、支出は離婚前に考えていた以上に増えるものです。
人によっては趣味に費やす時間が増えたり、そのアフターでお茶会をしたり、また人生をやり直すために資格を取得したり、離婚前には想定しなかった支出が次々に発生します。人間は弱い生き物ですから「嫌いな夫と別れられたら、それだけで幸せ」とはいかず、「心身の癒やし費用」が自然と増えます。ちなみに私はそれを「人生防衛費」と呼んでいますが、家族がいたほうが「人生防衛費」は低くて済む傾向にあると思います。