Q:ウチの会社は育休制度がないみたい
「会社に制度があってもなくても、育休は“育児・介護休業法”という法律のもと、保障されています」
社員が育休を取りたいと申し出た場合、会社は繁忙期だろうと人手不足だろうと、たとえ経営困難な状況であろうと拒むことはできないのだ。
Q:職場で男性が育休を取った前例がなかったら?
第1子誕生の際、塚越さんが働く会社の所属部門では、過去に育休を取得した男性社員はいなかったという。
「私は案件ごとに10人くらいの上司がいたんですが、8割は育休に賛成してくれましたね。2割は嫌な顔をしましたけど(笑)。部門初ということは、上司にとっても部下の育休取得は初めて。育休についての正しい情報や夫が取る意義を伝え、さらには育休取得を希望する若手が増える一方である中、“会社にとっての男性育休の意義”もプレゼンしました」
残念ながら、“ファーストペンギン”はやることも、考えなくてはいけないことも格段に多い。
「でも私が育休を取ったら、後輩たちも続きました。だから1人目を出すということはすごく大事。かつて女性は妊娠したら退職し、育休を取って働き続けると白い目で見られた時代もありましたが、今や女性の育休は当たり前。当時の女性たちが頑張ったからです。だから、後輩たちにいいバトンを渡すために、今度は男性が頑張る番なんだと思います」
Q:もしハラスメントにあってしまったら?
育休を申し出たり、取得したことで、クビや左遷など不利な扱いをすることは法律で禁じられている。“男が育休なんてありえない”“あなたの育休のせいで周りは迷惑している”などの言葉も、ハラスメントだ。日本労働組合総連合会の調査によると、育休取得に関してハラスメントを受けた男性は2割弱。
「“ハラスメントを受けなかったよ”と、わざわざSNSにアップする人はいません。ハラスメントを受けた人はSNSでそれを言いやすいうえに、ネガティブな情報は広がります。ゆえに、ハラスメントを受けた男性がまるで8割のように感じられている部分はあると思います」
もし、ハラスメントを受けた場合は、“それ、ハラスメントです。やめてください”とはっきりと意思表示を。そして、職場の人事部門や労働組合などの窓口に相談。さらには、都道府県の労働局雇用環境・均等部などへ相談を。
「ハラスメントの発覚で、その企業の株価も下がるご時世。企業の対応姿勢も変わってきてはいます」