夫が家にいないのが普通と思ってほしくはない
そんな恋愛のなかで、運命を感じる出会いについにめぐり逢う。そして28歳で子どもを授かった。モデル・タレントの“西山茉希”は“母”となったのだ。
現在は離婚しているが、相手を憎むのではなく、リスペクトしているがゆえの離婚だと西山は話す。尊敬する元夫の舞台に足を運び、今でも応援する姿はふたりの娘にも伝わっている。西山が元夫を尊敬しているように、娘たちも父親を尊敬しているのだという。理想的なシングルマザー生活に見えるが、気がかりなこともあるという。
「好きな人と結婚して家族が家庭の中で揃っているのが当たり前という認識って今もあるじゃないですか。だから娘のスタートラインが、夫が家にいないのが普通の女性ではあって欲しくないし、逆に負い目も感じてほしくない。でも私たちのような特殊な形もあるということは知っていて欲しい」
正直、シングルマザー生活は大変だ。現実問題としてパパという子どもを預けられる存在がない今、娘ふたりの歩幅に合わせながら、テンションと向き合いながら、朝晩の流れや仕事を回すことに奮闘せざるを得ない。仕事現場にいながらにして突然、保育園から“お子さんが体調を崩した”と着信が入る日だって、ある。
「そんなとき、色んな葛藤があっても笑い飛ばせるお母さんは素敵だと思います。
育児の上での愚痴や本音を隠して子どもに当たるより、それをどこかで吐き出して言葉にして笑顔に変われる方がいい。我慢しないお母さんでいることで、子どもにも本音で向き合ってあげれると思うんです。
世のお母さん、とくにシングルマザーの皆さんには溜め込むのはよくないので、どんどん外で吐き出してほしい。そしてそれを許容する社会であって欲しい」としつつ、自身が娘たちに望むことはというと……。
「あと欲をいえば、子どもたちには『ママっていつでも楽しそうだな』と思ってもらえるママでもありたいですね。シングルマザーであることで不必要な負い目を持って、本来持っている“輝き”を、自分からくすませてしまうママで、私はいたくないですから」
娘のために自分も輝いていたい。モデルであり、タレントであり、ママであり、そして一人の女性として今も歩み続けている西山茉希。そんな彼女の“輝き”の行方を今後も見守りたい。
(文・構成/衣輪晋一)