「自粛要請」の成果は19日に発表

 それでなくとも、安倍政権による一斉休校・外出自粛要請などで消費活動はどんよりと停滞中。感染疑いがあっても“見て見ぬフリ”をしたくなる土壌は整っている。

 せめて、善意の“隠れコロナ”を減らせないか。

 感染症専門医で東京都の『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長は、

「まったく症状のない感染者が感染を自覚する方法はありません」と首を振る。

「医師はそもそも症状が出ている人を診るんです。症状がない人を診るのは健康診断ぐらい。本当は陽性なのにいっさい症状の出ない人は、しばらくそのままにしていただけで治癒してしまうことも多いと思います」(佐藤院長)

 これまでにわかっている症状は、37・5度以上の発熱やのどの痛み、咳、たんなど。風邪やインフルエンザと似た症状のため、「自分でも他人でも症状で見分けるのは無理」(佐藤院長)という。

東京のスーパー「サミット」東中野店では、従業員に感染者が出て臨時休業となった
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【表】一目でわかる、行っていい場所・悪い場所一覧表

 政府の対策専門会議の見解によると、発熱や呼吸器症状(呼吸困難など)が1週間前後、持続したり、強いだるさを訴えるケースも多い。

 もし、風邪をひいたのかなと思ってドラッグストアで購入した風邪薬を飲んだらどうなるのだろうか。

 前出の佐藤院長は、

「軽い症状が出ている陽性患者の場合、風邪薬などは効果があると思います。薬はあくまで対症療法であって、解熱や咳や鼻水を抑えることで症状を和らげ、治るのを待つものですが、そういう一定の効果はあるはずです」

 と指摘。つまり、“隠れコロナ”がどう動き回ろうと、風邪薬で治ってしまうこともあるわけだ。

 安倍首相の唐突な「自粛要請」の成果は19日に発表されるが、受診できていない感染者がいる限り、すんなり感染がおさまるとは考えにくい。

 前出の上理事長は、

「韓国のドライブスルー方式をまねて検査を増やせばいい。心配な人は、市街地に設けられたドライブスルー施設に車で行き、乗ったまま検査を受けられるようにする。医師の指示がない場合は自費となります。合理的だし、不安を抱えたまま生活するよりもいいと思いませんか」

 と提案する。

 電車内でくしゃみの音が聞こえるたび、周囲がピリつく状況はいつ終わるのか。

「終息は、発生者がゼロになって、再発がないという状況になってから、さらに何週間か経てみなければわかりません。国内の感染者が減っていったとしても、これだけ渡航者が多いのですから周辺諸国でも減っていかないことには、なかなか終わらないと思いますよ」(前出の勝田教授)

 夏になっても感染は続き、早くも年を越えるとの見方も出ているなか、息苦しい長期戦が続く……。


【識者PROFILE】
◎KARADA内科クリニック 佐藤昭裕院長 
東京都品川区西五反田1-2-8 FUNDES五反田10階
電話……03-3495-0192

◎ナビタスクリニック新宿 内科・上昌広医師 
東京都新宿区新宿4-1-6 NEWoMan7階
電話……03-5361-8383