脱毛サロンも危険
ほかの職種を見ると、意外と高リスク判定されているのがクリーニング店の従業員だ。
前出の徳田室長は、客が出す衣服にウイルスが残存している可能性を指摘する。
「脱いですぐに持ってこられたものや、昨日着た洋服などは表面にウイルスが付着しているかもしれません。このウイルスは、モノの表面で3日間ぐらいは生きるとされています。店員さんは、持ち込まれた衣服を扱った手でそのまま、目や鼻、口などを触らないように注意したほうがいいでしょう」(徳田室長)
運転業はリスクの高い順に、バス運転手、駅員、パイロット、タクシー運転手と評価。タクシー運転手はもっとハイリスクに思えるが……。
関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は「考えられるのはいっときに会う人数ですね」と話す。
「タクシーが乗せる客はだいたい2~3人。バスはもっと大勢を乗せて走ります。パイロットは誰にも会わなさそうですが、乗務前には多くのスタッフと複数のミーティングをこなします。どの運転手であっても、アルコール検査や点呼時にリスクが発生していそうです」(勝田教授)
通勤ラッシュ時に不特定多数の乗客をさばく駅員は、危険度が高くなりそうだ。
クラスター感染があった葬儀にもリスクが伴う。
「陽性患者のご遺体はパッケージされるなど感染防止策が徹底されています。しかし、業者は一般の葬儀で不特定多数の遺族や参列者に応対しなければなりません」
と前出の勝田教授。
業者側も「密閉」「密集」「密接」を避ける工夫をしているようだが、油断のないように。
整体師のリスクも高めだった。仕事のスタイルが似ているマッサージ店や脱毛サロンで働く人も同レベルとみられる。
「マッサージ店の従業員は、狭い個室で客に密着するようであればリスクは高まります。広い空間で換気しやすい職場環境ならば別ですけれども。脱毛サロンも、密閉された狭い空間で施術することが多い。とりわけ、男性の口のまわりのヒゲを脱毛するときがいちばん危ないと思いますね。最近の若い男性は、ヒゲの脱毛をする人が増えているみたいですから」(前出・佐藤院長)
一方、リスクが低かったのは農業従事者や木こりだ。
「屋外で人とほとんど会わずに黙々と作業しますからね。人と会わなければ感染しません。逆にどのような業界であっても、多くの人と会う仕事ならば注意が必要です」(前出・上理事長)
いまは緊急事態下にある。
仕事のやり方を工夫して、少しでも感染リスクを下げておきたい。