新型コロナウイルスの感染拡大によりドラマやバラエティのロケやスタジオ収録がストップするなど、多大な被害をうけているテレビ業界。一方、ワイドショーや、報道番組はコロナ禍の状況を日々報じるという“皮肉”な図式となっている。
そんなニュース番組で、連日にわたって登場している“あるお店”がネット上で話題になっているのをご存じだろうか。練馬区や杉並区に店舗がある格安スーパー『アキダイ』が、それだ。
この店名にピンと来なくても、新型コロナが流行する前から、夕方のニュース番組で《野菜価格の高騰》《消費税増税》といったテーマでよく取り上げられるスーパーといえば、「ああ」と思い出す人も多いのではないだろうか。
そして、このコロナ禍にあっても『アキダイ』を目にする機会は非常に多い。
4月23日放送の『グッとラック!』(TBS系)の中でも、「都のスーパー入店規制」に対するコメントを『アキダイ』の名物社長である秋葉弘道氏が求められていた。26日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)でも取材を受けていたし、ハッキリ言えば、いつでもどこでも『アキダイ』は出てくるのだ。
その理由について、ある情報番組ディレクターはこのようにいう。
「一言でいえば、アキダイさんが“いつでも簡単に取材を受けてくれる”から。私たちが知る限り、秋葉社長に取材を断られたことはありません。コメントもこちらが言ってほしいことを瞬時に理解してくれますしね。だから、困ったときは『アキダイ頼み』というのがテレビ界の常識なんです」
一方、この格安スーパーがコロナ禍でも露出していることに一部のネットユーザーからはこんな批判の声も上がっている。
《またアキダイ》《スーパーアキダイばっかりもうええてw》《アキダイひとつとって全国的な話のように扱わないでほしい》etc……。
報道番組を手掛ける制作会社幹部も「『何でもアキダイ』は良くないと思います」と、ツイッターの声に同調する。
「1年ほど前、あまりにも同店の露出が多かったテレビ局では“アキダイ禁止令”が出たこともありました。でも報道というのは“生モノ”ですからね。たとえば朝に入った軽減税率のニュースに対して、夕方の番組に間に合わせるためには時間がほとんどありません。となると、やはりアキダイさんに、ということになり、いつの間にかまたお願いするという事態になっているんです。
しかし、今のテレビの現場が大変なのは分かりますが、やはりあまりにも安直だと思います。テレビ側の意図を汲んだコメントを出してくれるということは忖度してくれているわけで、ある意味“ヤラセ”に近いもの。
それはアキダイさんが悪いわけではなく、我々がしっかりしないといけないことです。批判の声というのは、そういったところが最近の目が肥えた視聴者から見透かされているからでしょうね」
テレビ界にこの声は届くのだろうか――。
<取材・文/三原アスカ>
◎芸能ライター。芸能取材歴ナント30年の大ベテラン。スポーツ紙、週刊誌、ニュースサイトなどに寄稿している。モットーは「スキャンダルこそ芸能の本質!」。