法律の観点から見る『里親詐欺』
猫の『里親詐欺』の裁判に詳しい細川敦史弁護士は、
「私も何度か刑事告発したことがありますが、不起訴が多い。動物はしゃべりません。ですから被害が見つかりにくいんです」
と難しさを指摘。しかしながら、細川弁護士は2019年6月には担当した里親詐欺の民事裁判で約60万円の判決を勝ち取ったことがある。
動物愛護団体に託した7匹の猫の行方がわからなくなり、精神的苦痛を受けた女性が115万円の慰謝料支払いと猫の返却を求めた裁判だ。
そして、新たな詐欺ケースについても警鐘を鳴らす。
「引き取り詐欺です。お金をもらって引き取ります。ちゃんと里親を探しますよ、猫を幸せにしますよ、と言って引き取り、その後は行方がわからなくなる」(細川弁護士)
里親が見つかりにくい成犬や成猫を1匹いくらで引き取ります、と申し出て、引き取った後はどこかへ遺棄してしまうやり口もあるという。
「闇で横行しています。彼らは動物を1万~2万円で引き取る。あとは全部遺棄したり、餓死させたりもあるようです」(前出・袈裟丸さん)
中には数十万円単位で引き取りを持ちかけるケースもあるという。悪質極まりない。
動物虐待の裁判で、動物の愛護及び管理に関する法律違反の罪に加え、詐欺罪を勝ち取ったケースもある。動物問題に詳しい渋谷寛弁護士は、
「ちゃんと飼ってくれると思って譲ったのに違う目的だったとなれば、譲渡段階で詐欺罪は成立しています。ただ、1匹だけ譲り受けた人が殺すつもりだったかどうかを立証するのは難しい」
悪意を腹の底に隠した詐欺師らを、見かけで判別することは困難だ。万が一、『里親詐欺』にあったときは、
「まず相手方に内容証明郵便で、返還請求をします。猫がいる場所がわかれば、返還請求は可能です。でも、詐欺師は人をだますのが得意ですから、見破るのは大変です」