どうしたら「命」を救える?
危機回避のノウハウを、前出・袈裟丸さんは、
「里親として名乗りがあったらまず、家族全員の同意があるかなどを確認し、家族の様子をそれとなく聞くんです。
譲渡の場合は、環境省の基準に基づき、ひとつひとつ聞いていきます。他県だろうがどんなに遠くても、家は必ず見に行きます。迎え入れる飼育環境や意識に問題がないか直接確認し、すべてが整っているうえで譲渡します。
ただ中には、そこまでせずに駅で渡します、というところや、性善説に基づいて、“飼ってくれる”という相手を信用してしまう人もいます。絶対にやってはいけません」
相手を吟味する際のキーワードは「初期投資」だ。
「現在は、基本的には猫の完全室内飼いが求められています。最初はケージを用意しないとトイレや爪とぎの習慣づけで失敗し、ちょっとした隙に逃げてしまう。
それを理解して準備してくれる家は、継続飼育の意思がある。でも、家に行っても何の準備もしていない。トイレもない場合もあります。そういう人にはお渡ししません。初期投資ができない人は、具合が悪くなっても医者にも連れていかないでしょう」
袈裟丸さんは、受け入れ準備をすぐに実行しない相手に、疑念を持つ。さらに、
「家族や個人情報、職業、住所を明かしたがらない。猫との思い出とか、飼っていない人でも猫への思いや憧れなどがあると思いますが、それを語れない。そういうことで本気度を見分けていきます」
里子だけでなく、迷子猫を飼い主に渡す際も注意が必要。
前出・愛護団体関係者は、
「飼い主を装う人もいます。必ず第三者や警察を間にはさんで引き渡してください」
と注意を呼びかける。