時代とのブレに気づいていない
倖田のケースでも岡村のケースでも、周囲の誰もが本人たちの発言をスルーしてしまった。前出・スポーツ紙放送担当記者が続ける。
「スタジオに一緒に入っている放送作家はタレントさんと仲良しですから“ナアナアな関係”ですし、考えも似てしまう。じゃあ、どうすれば舌禍を避けられるのか? 世の中の空気をきちんと読み取れ、まともな物差しを持っているチェッカーの方に、収録にしろ生放送にしろ本番に立ち会ってもらうしかないですね。局内にそんな役割を担える人間はいません。似たようなカルチャーの人間が聴いたところで、チェックはできませんからね」
リスナーとパーソナリティーの関係が密で濃厚な深夜ラジオの時代は、とうに過ぎ去った。生であれ収録であれ、あらゆる発言がチェックされ、ネットにはアーカイブが残り拡散する時代。発信者は常に、多くのニュースやメディアに接することによって、変わりゆく世の中の価値観を自分の中で更新しなければならない。
怠れば、世間とズレる。
今回は、自分の発言が世間に受け入れられていると錯覚し続けてきた岡村の無知が、取り返しのつかない舌禍事件を招いた。
常日頃から岡村の無知、時代とのズレ加減を指摘するブレーンが周囲にいなかったことも大きい。
<取材・文/薮入うらら>