女性としては絶対に勝てない母
しげる「ところで、和香が女優になりたいと思っていたのは、亡くなった、お母様の存在が大きかったよね! 今、自身が母親になってみて、『お母様のすごさ』とか『自分はその存在に近づいているのか?』とか考えたりすることはあるのかしら?」
井上「うちの母親は……」
しげる「綺麗だったよね」
井上「確かに綺麗でしたね。直接母に言うことはなかったけど。でもやっぱり、“敵わない”と思ってるかな」
しげる「女性として?」
井上「女性として。私が年少くらいの写真を見たときに、まあ綺麗なわけ。お化粧も綺麗にしてるし。年少さんと、小学校1年生の子ども(姉)をかかえてディズニーランドに行ってるのに、びっくりするくらい綺麗で。“女優帽か”ってくらいのでっかい帽子被ってサングラスかけてるの。“どれだけ目立ってるんだ”っていう感じの写真(笑)。でも、“これをしろ”って言われたらできないから、私。“すごいな”と」
しげる「いや、やれるでしょ」
井上「いやいや。子どもの支度をしてから自分のメイクをして。子どもが走り回る中女優帽かぶってみてよ。風でブワア! みたいな(笑)。そう考えた時に、母親は“女性なんだな”と思ったしやっぱり女性として綺麗に見せたいんだなって。私、“女を捨ててる”と思ってるから(笑)。お母さんになろうとしてるから」
しげる「え、必要ない? 子育てに“女”は」
井上「私は髪の毛振り乱して、スニーカーで、リュック背負って、走り回ってる感じ(笑)。すっぴんで。体力的にも大変で、だからこそ、私の母はすごいなと思うし、真似できないなと思う。いわば“ライバル”です。ずっと。もう昔から喧嘩ばっかりしてきたんですね。姉に言わせると、“私と母はすごく似ている”と。“顔も似てるし、性格もキツさが似てるし、だからぶつかるんだろう”と」
(編集部)――亡くなられた時は……?
井上「いやもう泣きました。ものすごく泣きましたよ」
しげる「和香は、お母さんとすごく仲良しだったもんね」
井上「最近感じるのは、節々で自分でわかるくらい、私は母に似てきて。それなのに“女”としては確実に負けてて。もうこれは敵わないんですよね、どうしても」
しげる「確かに、女としてはね~。無理だね、和香は(笑)」
井上「でも料理は母親より父親の方が得意だったので、唯一その“母親”の部分では勝とうと今頑張っています。だから“ごはん頑張って作んなきゃ”とか、“お弁当私が作る”とか(笑)。なんか今でもちょっと張り合ってるんだろうなと思っている自分がいます・“母親”の部分では負けたくないですね!」
(編集部)――最後に。これからはどんな40代を過ごしたいと思いますか?
井上「私は20代、30代はなんかいろいろもがいていてすごく苦しかった気がするんです。でも40代は“肩ひじ張らなく生きていけそうだな”っていうのはうっすら思っています。あ、老いは嫌ですよ。だけど、なんでしょうね、なんか、すごい競っていた感じがするんで。周りの人と比べる自分がいた……それはなくなったなと思います。だからこの40代が、人生の中で一番楽しかったなって言えるようにしたいなって私は思っています」
しげる「和香なら大丈夫だよ。しげるも応援するよ! ……さて、このお店どうでした?」
井上「私、牛タンが大好きで。この牛タンの炙りとかコロッケがすごく美味しかった!」
しげる「実はね、しげる、牛タンが苦手で(笑)」
井上「え!?そうなの!?初めて知った(笑)」
しげる「なのに、ここの牛たんのメンチカツは食べられるの」
井上「うん、それもすごく好きだった。タンシチューも良かったな。あと何より駅チカ! それにお店の雰囲気が気取ってないのもいいよね」
しげる「わかる。年とともに気取ったお店は要らなくなってきた。また食事一緒に行きましょうね!」
今回のお店 『牛たん 英司』
【店主に直撃!】
――お店について教えて下さい
仙台の牛タン店のやり方を踏襲しています。牛タン一本を使うのですが、焼ける部分は限られています。それ以外の部分は煮込んだり、ミンチにしてメンチカツにしたり。一本を全部ムダにしないよう調理しています。牛タンを煮込んだスープでカレーも作るなど、バリエーションも増やしてお出ししています。
――お勧めは?
やはり厚切りの牛たん焼きを食べていただきたいですね。焼肉屋さんでいうユッケを牛タンで作ったりします。またタンしゃぶのコースや牛たんハンバーグもありますので、牛タンづくしを楽しんでもらえれば。またデミグラスソースも手作り。タンシチューなどもお試しください。
――メッセージを
駅前ですし、気軽に入れる雰囲気でお待ちしております。皆さんもあまり飾らず、アットホームに楽しんでいただければと思います。