“何もできず、悔しい思いをした”と振り返る小島さん。というのも、小島さんがこの仕事をしている根底には、悪徳業者をなくしたいという目標があり、前回の取材でも“お金のために働いていない”と語っていた。

心に寄り添いたい

 そんな彼女が現場で心がけているのは、依頼者とのコミュニケーションだ。

「依頼者である、例えばご家族の方と一緒に片付けをすることもあるんですが、そのときは私から話を聞くようにしていて。最初は壁を感じるものの、だんだん思い出話をしてくれるようになる。そうすると、あぁ、ここに住んでいた人は愛されていたんだろうなって。もちろん、恨まれていたんだなとか、逆のパターンもありますが。そこに住んでいた“人”っていうものが見えてくるんですよ

 そこで受け取ったメッセージを、彼女は今でもミニチュア作品で表現したり、トークショーで伝え続けている。

「お金がどうこうじゃない。正直、片付けって誰でもできると思うんですけど、そこからもう一歩、入り込んだところに触れられるのが私たちですから。私は誰かを亡くしてつらい想いをしている人たちの心が、少しでもラクになったらいいなと思っています」

 今後も彼女は、依頼があれば現場へと足を運ぶ。

「コロナの影響でしばらくはストップしていましたが、また少しずつ依頼も戻りはじめているので。またそういう人たちの心に寄り添えることができたらいいなと思います」