タイムカードは着替え前に押せ!

 スーパーや飲食店などで働いたとき、雇い主から「制服に着替えてからタイムカードを押してください」と言われたことはないだろうか──。着替えの時間は、労働時間に含まれない?

いえ、制服に着替える準備行為は、事業主や店主など使用者の指揮命令によってなされているわけですから労働時間にあたります。着替える時間も給与の対象です。

 ただ、事業主も、労働基準法にもとづくルールを知らないのかもしれません。悪意があって“制服に着替えてからタイムカードを押せ”と言っているわけではなく、これまでの慣例に則って行っているのでしょう」

 雇用される側も、ルールを知らないでタイムカードを押しているとソンをしてしまう。だからこそ知識は大切だ。出勤したら私服のままタイムカードを押して、退社するときは私服に着替えてからタイムカードを押す。もし、事業主などに注意されても、これは労働者の正当な権利なので堂々と行ってOK。

 ここまでいろんな制度や規定を見てきたが、会社側の違反や落ち度で正当な給料が支払われていないことが判明したら、どうすればいいのか?

 ちょっとした計算ミスなら、経理担当者などに直接かけあって修正してもらうことはできるだろう。しかし何年にもわたって不正が行われていたり、不当な未払いが発生していたり、問題が大きいと、ひとりで会社に立ち向かうのは相当ハードルが高い。

「交渉するためには、必要書類を集めるなど多大な労力がかかり、もし弁護士などに依頼したらその費用もかかります。パート代の未払い分より高くなってしまうかも。ですので、会社に社会保険労務士がいる場合は、まずそこに相談してみるとよいでしょう。社労士がいない場合は、各地の労働局の総合労働相談コーナーや、法に違反することなら労働基準監督署に相談を。会社側に問題があれば、監督署から注意勧告や指導が入ります。会社側は改善に取り組むでしょう」

 コロナ不況下だからこそ、今まで見過ごしてきたことに目が向き、法律や制度への関心も旺盛に。この機会に情報や知識を蓄えておくことは、今後の働き方や収入に好影響をもたらすだろう。