弱い立場にいる人や動物に心を寄せる
象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の准教授・河西秀哉さんは、こう話す。
「次世代の子どもたちに対する支援に力を入れられることは、皇后陛下にとって適しているテーマだと言えます。世間では、児童虐待などの事件や待機児童の問題が取りざたされており、国民から注目されるテーマでもあるからです。
一方で、児童施設などは政治的な観点から、両陛下の言動やご活動が利用されてしまうおそれもあるためバランスをとりながら行う必要はあると思います」
'18年のお誕生日文書では、そんな“次世代へのエール”とともに、両陛下が掲げられる“令和のテーマ”として「動物」が挙げられると話すのは、前出の山下さん。
「両陛下のお気持ちが国民に伝わるかどうかは、ご活動がどのように報道されるかにかかっています。
中でも報道されやすいものは、“動物”に関することだと思います。平成の天皇・皇后のご活動にはあほとんどありませんでしたから、令和の特徴的なご活動になると思います。両陛下がアニマルセラピーや保護犬に関するご活動をされることは、人と動物が共に生きる社会の重要性や“命の大切さ”を伝えることにつながるでしょう」
以前には、東京・築地の『聖路加国際病院』の小児病棟を何度か訪れ、アニマルセラピーの現場を見学されていた雅子さま。御所では'09年ごろに動物病院で保護されていた犬を引き取って『由莉』と名づけ、数年前からアニマルセラピー犬として専門家から訓練を受けさせているそうだ。
「毎春に学習院大学内で行われるお祭りに行かれた際には、盲導犬事業の啓発に取り組む『アイメイト協会』のブースに立ち寄られています。昨年9月には、秋田県内の動物愛護センターを訪問された両陛下は、県内で保護された秋田犬などと触れ合い、保護犬が雅子さまにキスをする微笑ましい場面も。
雅子さまはかねてから、動物のケアやアニマルセラピー講座にプライベートで足を運ばれていました。“動物が人に与える癒しの効果”を理解されており、社会に必要とされているとお感じになっているそうです」(侍従職関係者)
動物をテーマにすることは、時代性ともリンクしていると、前出の河西准教授も話す。
「両陛下は、障害児施設の子どもたちや、動物愛護センターで秋田犬と触れ合うなど“弱い立場にいる人や動物”に心を寄せられている印象があります。特に動物関連は、平成ではあまり見かけない光景だったので、国民の記憶にも残ることでしょう。
御所では保護犬を飼われるほど動物がお好きなようですし、現在は犬や猫を飼う人はとても多いので、時代にも合っていると感じます」
コロナが収束した後、令和皇室を形作る両陛下のご活動が始まっていくはず──。