ノンスモーカーのスモーカーに対する数々の迷惑感情が浮き彫りになった形だが、スモーカー側の努力は進みつつある。加熱式たばこの普及である。
1月、厚生労働省の『国民健康・栄養調査(平成30年)』の結果が公表されたが、習慣的喫煙者の男性が使用しているたばこ製品の種類は「紙巻きたばこ」が77.0%、
「加熱式たばこ」が30.6%、女性の場合はそれぞれ84.9%、23.6%だった。
同調査で加熱式たばこの普及が調査されたのはこれが初めてだったので、前年からの増加率などはまだわからない。ただし、今回のアンケートでは、回答者のうち217人(41.3%)が「家族・同僚・友人など身近な喫煙者が加熱式に変えている」と回答している。
周囲への配慮を欠かさない人が選ぶ「低温型加熱式たばこ」
加熱式たばこは、煙、吸い殻が出ず、臭いも少ないというノンスモーカーの迷惑感情をかなり解決するツールである。
そこで加熱式たばこの特徴について、加熱式たばこ、電子たばこを扱う『VAPE STUDIO』を運営する株式会社トレードワークスのバイヤー・阿久津光さんに話を聞いた。
「たとえて言えば、紙巻きたばこは、たばこ葉を焼く“直火焼き”、高温型加熱式たばこは“IHヒーター”、低温型は“せいろ蒸し”、でしょうか。低温型はカートリッジの液体が加熱され蒸気が発生。その蒸気がたばこカプセルを通過し、たばこ成分を含む蒸気となります」(阿久津さん)
加熱式たばこの利点としては、
「モノを燃やす時に発生するタールを大幅にカットしつつ、ニコチンを摂取することができます。タールがほとんど出ないため、臭いや壁紙などにつく黄ばみも少なくなります」(同)
たばこメーカー各社とも加熱式たばこに力を入れており、フィリップ モリスの『IQOS(アイコス)』、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの『glo(グロー)』、JT(日本たばこ産業)の『プルーム・テック』が代表的な機種となる。
「周囲への配慮、とりわけ臭いを抑えたいならプルーム・テックをおすすめします。タバコ葉は高温で熱するほど臭いは強くなりますが、プルーム・テックは30度で熱する低温加熱式で残り香はほとんどありません。
旦那さんの喫煙もプルーム・テックならOKと納得してくれる奥様もいるようです。そのぶん、吸いごたえが弱いとも言われますが、そこを改善したのが後発機種の『プルーム・テック・プラス』で、加熱温度が10度上がり、カプセル内のたばこ葉の量も多くなっています」(同)
その他、紙巻きたばこ1箱と加熱式たばこのカプセルのセットは同じ価格帯だが、プルーム・テック(低温加熱式)の方が紙巻きより持続時間が長い。そもそも、紙巻きは一度火をつけたら一度に1本吸いきらなければいけないが、プルーム・テックは1カプセルを吸ったり、やめたりと断続的に吸える。そのようなコストパフォーマンスも魅力となっている。