ロックな趣味にも躊躇なし

 創立以来、ジャパンポンポンの顔として、チームを引っ張ってきた滝野さん。実は'18年の3月で会長を退き、顧問になった。すでに初期のメンバーは誰も残っていない。前出の武藤さんも体調を崩して、'17年に辞めた。

2018年3月、チアリーディング&ダンスの全国大会にゲスト出演。出場していた高校生たちから大声援を受けた
2018年3月、チアリーディング&ダンスの全国大会にゲスト出演。出場していた高校生たちから大声援を受けた
【写真】リモート取材でオレンジ色のウイッグをかぶった、おちゃめな滝野さん

 今はリーダーの滝沢さんら5人の委員に運営の仕事を任せており、2020年に予定する結成25周年記念のチャリティーショーにも滝野さんは出ないつもりだという。

 驚いて滝沢さんに確認すると、笑いながら否定した。

「会長を退いても、やっぱり滝野さんがボスです。これだけの人数がいろいろなことを言うでしょう。“これで行きましょう”と、まとめる人が必要なんです。3年前の20周年のときも、滝野さんは出ないと言っていましたが、結局、何曲も踊りましたから(笑)。また、やっぱり踊ってくださると思いますよ。すごいですよね」

 滝野さんはチア以外にも、さまざまな活動を行っている。80歳からウクレレを、83歳からは、なんとエレキギターを始めた。

 ウクレレのサークルに誘ったのは谷口淑子さん(76)。関西学院大学の10年後輩で、15年前に同窓会で知り合い意気投合した。

「タッキー(滝野さん)の持論は年をとったらきれいな色を着ることです。初めて会ったときもお互いにショッキングピンクの服でした。私も年齢で着るものを変えるという考え方ではなかったのですが、タッキーと付き合うことで、さらに解放されました。最近は周りのメンバーも影響されてきて、明るい色を着ていますよ(笑)」

 3年前、谷口さんは滝野さんを友人のバンドのライブに誘った。最前列でエレキギターの音を聴いた滝野さん。

「あれをやる!」

 そう言って、すぐに教えてくれるところを探して習い始めたのだという。

自分が好きだと思ったものに対して、躊躇しない。すごく前向きで、生き生きしたおしゃれな86歳を見ていると、元気が出ますよね。年をとるのも怖くないと思うし、高齢者の希望の星みたいになっています。ただ、タッキーは毎週毎週、踊って、鍛えているから元気なんですよね。何もしなくてもタッキーみたいになれると、勘違いしちゃいけないと思っています」

 谷口さんは踊りが苦手なので、滝野さんから教わったとおり毎日、大またで歩いて、よい姿勢を保つようにしているそうだ。

 では、滝野さん自身はどんな日常を過ごしているのか。何か元気で過ごす秘訣があるのかと聞くと、こんな答えが返ってきた。

私はコーラもビールも箱買いしているし、お肉が大好き。減塩とか、健康にいいと言われることは一切していません。それでも、ひざも腰も痛くないの。頭が悪いだけで(笑)。いやいやホント、どれだけ物忘れするか。身体が動くかぎり、チアのレッスンは続けます。だけど、ボツボツ施設を探さないといかんなーと思って。元気なうちでないと入れないから」

 施設でもチアのグループを作っちゃったりしてと返すと、滝野さんは「そうね!」とうれしそうにうなずいた。