コント的手法をドラマに取り入れ
しげる「おさむさんと言えば『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)もそうですけど、コントも書いてらっしゃったじゃないですか。やはりその経験が、『M』に生かされている部分ってあります?」
鈴木「『SMAP×SMAP』のコントを20年書いていたんですけど、パロディコントを沢山やっていたんです。木村拓哉さんの『古畑“拓三郎”』とか。世の中で流行したものをパロディ化していったのですが、ある時からパロディにしたいと思える作品がなくなってしまったんです。
時代の風潮もあったんでしょうけど、“じゃあ自分がパロディにしたいと思えるドラマを作ればいいじゃないか”と思っていたのを脚本に反映させた部分はありますね。
もし今も自分が『SMAP×SMAP』をやっていたら、そのパロディコントを書くだろうなっていう。そこで生まれたセリフが、先ほども言った『アユ、ダイヤになる』とか、『アユ、負けない』とかであって」
しげる「楽しい! それはすごく真似したくなりますよね。パロディコントも観たくなる」
鈴木「あと、田中みな実さんが、すごく長く伸ばしながら『許さなーい!』と言うシーンもありますが、普通のドラマの脚本だと台本の表記も『許さなーい!』のままなんです。でも僕の脚本では『許さなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!』と書くんですよ。“台本を見て分かってくれ!”という思いと言いますか、コントを書いていた経験が生かされていると言えばそういったところですかね」
しげる「例えば『8時だョ!全員集合』の志村けんさんとかのコントを見てると、当時出てきたアイドルの女の子たちとか男の子たちと一緒にコントをしてたんです。しげるの記憶では、いわゆる芸人さんのやるコントよりも、そっちの方を先に見た記憶があって。『SMAP×SMAP』もそうですよね。芸人さんじゃなく、SMAPがコントをやってて」
鈴木「『全員集合』で志村さんと桜田淳子さんのコントとか、『淳子、負けない』みたいな。異常にお上手だったじゃないですか皆さん。沢田研二さんも郷ひろみさんもめちゃくちゃコントうまかったりとかするじゃないですか」
しげる「松田聖子さんもやってましたよね」
鈴木「やってましたやってました。芸人さんがやるコントとアイドルがやるコントってちょっと違うんですよ。アイドルなんかはコントで笑わせる……というより、コントを“演じる”んです。それで香取慎吾さんなんかはすごい爆発力を見せてくれたりもしましたが、『M』でも、コント的手法も取り入れた脚本を、芸人さんじゃなく俳優さんたちが“演じる”。やはり『M』も、そういったことは意識していましたね」