7月4日、志村けんさんがMCを務めていた動物番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)が9月いっぱいで終了することが発表された。10月からは、同番組で志村けんさんとともに司会を担っていた嵐の相葉雅紀(37)をMCに、新しい動物番組『I Loveみんなのどうぶつ園(仮題)』をスタートさせるという。
16年半も続いた人気番組だけあって、形を変えながらも継続させる意向に温かいコメントが多く寄せられていた。しかし、そんな動物番組には“深刻な問題”があるようで──。
感動的な報道の背景にある危険性
《プリン、再開心待ち 志村さんネタのショーも》(5月26日、熊本日日新聞)
《志村さんに見せたかった…プリンちゃん縄跳び初披露》(6月5日、西日本新聞熊本版)
《プリンちゃん、大縄跳び成功 志村けんさんからの最後の宿題》(6月6日、神戸新聞)
5月末から6月初旬にかけて西日本の新聞社各社が、ある動物園のニュースを伝えている。新型コロナウイルスによる肺炎での志村けんさんの急逝から約3か月。生前、志村さんが可愛がっていたチンパンジーに関する報道だ。
熊本県にある動物園『阿蘇カドリー・ドミニオン』は、コロナウイルスの影響で4月12日から5月末まで臨時休園していた。冒頭の報道は、同園が営業を再開させ、志村さんに可愛がられたチンパンジー『プリンちゃん』が、彼が提案したというショーでの“縄跳び”を披露したことを伝えるものだ。
志村さんは自身がMCを務めていた番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)の企画で、'04年から『阿蘇カドリー・ドミニオン』に毎月のように訪れていた。番組でプリンちゃんやその父親である『パンくん』と共演するだけでなく、同園で行われるショーの内容についても提案をしていた。
報道によると、このプリンちゃんの縄跳びは、志村さんの提案であり、“最期の宿題”だったという。
「すごく上手に何十回と飛んでいて可愛らしかったです! 志村園長も空から見てくれていたんじゃないかなぁって」
そう話すのはショーを見た女性の1人。また、縄跳びの報道に対してネット上では《プリンちゃんの晴れ姿、見てほしかった…》《涙が出る》といった意見が多く見られた。
志村さんとチンパンジーの間に生まれた絆は美しいものだ。しかし、この縄跳びや『阿蘇カドリー・ドミニオン』のプリンちゃんの扱いについて、ヒトとチンパンジーの比較研究を専門とする大阪成蹊大学教育学部准教授の松阪崇久さんは警鐘を鳴らす。