望まぬ延命治療をされ、苦しむケースは多い

 孤独死の現場の後片づけを行う特殊清掃業者の方を呼んで、孤独死がどういうものなのか勉強会も開いた。そこで知ったのは、孤独死するのは女性より男性のほうが多いこと。理由は、男性は近所付き合いをしない人が多く、引きこもりがちなので、発見されるのが遅くなるということだった。

 また、想像したらますます孤独死が怖くなるが、孤独死でも夏と冬とでは遺体の腐敗具合が違うという。人間も果物と同じで夏は腐り方が早く、冬はゆっくりと腐ると話してくれた。発見が夏の場合、うじが湧いていることもあるそうだ。

「うじ」と聞くだけで、さらに、孤独死の印象が悪くなるが、孤独死は、ほんとうに悲惨で恐ろしい死に方なのだろうか。

 おひとりさまをつなぐわたしたちの会(NPO法人 SSSネットワーク)では、2000年に会員のための共同墓を造った。会の歴史とともに、会員も年をとり、今では70歳前後が大半だ。そして、亡くなる人も増えてきた。これまでに亡くなった会員の方は約40名。昨年は、7名の会員を送り、今年もすでに2名の孤独死の方を見送っている。

 誤解を恐れずに言うなら、ひとり暮らし(ひとり身)で、自分の部屋で誰にも見つけられずに、ひとりで息を引き取ることを「孤独死」と言うなら、わたしは言いたい。高齢ひとり身にとっては、こんなにいい死に方はないと。

 もし、ひとり身の人に、神様が特権を与えたとしたら、それは家族に邪魔されずに、最期を迎えられることだと思う。なぜなら高齢者の場合、家族に救急車を呼ばれ、よかれと思って行った延命治療によって、逆に本人が苦しんだ話をたくさん見聞きしてきたからだ。