ボロボロになるまで頑張る
ただ、2年後の7月、同じ東京ドームで行なわれた日米野球第2戦では、彼の将来を不安視する声も耳にした。試合のあと、近くの店で食事をしていると、隣りのテーブルに有名な野球ライターたちのグループがいて「斎藤は年々、悪くなっている」などと話していたのだ。同じことを感じていたので、プロ入り後の成績についても、まぁこんなものかなという気がしている。
ちなみに、プロ10年目の斎藤は現時点で15勝26敗。とはいえ、観客動員やグッズの売り上げなど、営業面ではかなり貢献してきた。昨年の結婚もニュースになったし、ある意味、成績だけでは評価できないところもある。それゆえ、日本ハムも彼を大事にしてきたのだろう。
しかし、このままでは戦力外宣告、つまりクビになる可能性もある。『東京スポーツ』が以前、そのあたりについて質問すると、彼はこう答えたという。
「もしそうなった場合でも、ひとりの野球人としてボロボロになるまで野球を続けたいです。(海外球団でも)もちろん、どこでもオファーがある限り」
ハンカチの「ボロボロ」と身体の「ボロボロ」
《「夢は大きく」ということでやってきたんで、メジャーリーグは目標にしているところではあるんです。でも、それは“日本のエース”になってからですね》
かつてハンカチ世代と呼ばれた同期生には、田中将大や前田健太のようにこの目標を実現した選手もいる。このまま二軍の中継ぎで終わるわけにはいかない、というのが本音だろう。
ボロボロになっても投げ続けるハンカチ王子。その爽やかさだけではない、泥くさくもある野球人生をこれからも見届けたい。