最後の投稿は“バルス”
地元ではのんびりできたようで、実家近くにある定食店にも足を伸ばしていた。
「冬あたりから久しく来ていなかったんだけど、今年は8月に2回も家族と来てくれましたよ。帰省のたびに顔を出してくれて、最後に来たときは清酒『奥の松』を飲みながら、焼き魚と刺身を食べていたかな。悩んでいるような様子はまったく感じられなかったね。帰り際にサインを求めたときも、“いいですよ”って言って、快く書いてくれたんだけどね……」(定食店の店主)
9月上旬には、実家近くの酒店にも訪れていたようだ。
「おひとりで来店し、地酒のことをいろいろ質問してきたそうです。マスクをしていたものの、スタイルのよさでお店の方もすぐに気づいたみたい。東京の自宅で飲むためなのか、地酒を3本買って宅急便で配送していたといいます。
お酒を選んでいるときの芦名さんの表情は真剣そのもので、日本酒好きでないと選ばないような銘柄を選んでいたため、“彼女はかなりの日本酒通だ”と、店主も舌を巻いていたそうです」(地元の飲食店関係者)
このときに購入した地酒を楽しんだのか、亡くなる2日前の9月12日には、インスタグラムのプライベートアカウントで晩酌していることを明かしていた。
《父親の湯呑み。美しく、感触が独特で…清潔感があって…なんとも言えなく好き。熱燗をいただくのに借りて、この湯呑みで飲むと、とても美味しく、気分良く、なんだかホッとしてお酒をいただけた》
ほどなくして、家族みんなが好きだったというジブリ映画『天空の城ラピュタ』の中に登場する飛行石のペンダント写真と、ラビュタの崩壊を引き起こす呪文《バルス》という、意味深な“最後の”投稿をした芦名さん。その2日後、帰らぬ人となってしまった。
「『ラピュタ』の放送時には、SNSで“バルス”と投稿するのがすっかりおなじみになりましたが、それ以外で使用されるときは、虚無を通り越して自暴自棄になって破壊衝動に駆られるときに使われるイメージです。“死にたい”は重すぎるけど、フラストレーションは溜まっている……そういう気持ちを表すときに使用される言葉として定着しています」(アニメに詳しいライター)
ここ最近も地元にたびたび帰省し、大好きな家族からたくさんの愛をもらっていたはずの芦名さん。彼女の抱えていた悩みは今となってはわからないが、残された家族や関係者の悲しみは計りしれない……。